函館物語 


 2019.1.12      写真と思い出のエッセイ 【函館物語】
                     
函館物語 (集英社文庫) [ 辻仁成 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
作者が青春時代を過ごした函館を再訪し、写真と地元の人との会話がエッセイとして描かれている。函館での旅エッセイと言えなくもない。函館の古き良き街並みや、作者が思い入れのある場所などの写真を交えながらエッセイはすすんでいく。「そこに僕はいた」のような青春思い出エッセイを想像していたが、違った。

現代の函館をメインに描かれている。そのため、函館に対して何の思い入れもない人にとっては少し辛いかもしれない。何かしら過去に函館に住んでいたとか、函館に対して興味がある人でなければ楽しめないだろう。写真を見る限りでは、観光地というよりも、古き田舎町を探訪しているような気分になることは間違いない。

■ストーリー
最も多感な時期を過ごした町・函館を再訪し、自ら撮影したカラー写真と、書き下ろしエッセイで綴る。観光ルートから逸れて、誰も書かなかった函館を案内。オリジナル・カラー文庫。

■感想
作者のエッセイでは、それなりにインパクトある少年時代を過ごしていたというのがわかる。特に函館では破天荒な青春時代を過ごし、転居が多い家庭の中で最も強く印象に残っている場所らしい。そんな函館を、作者が大人となり再訪した旅がエッセイとして描かれている。

函館の景色や建物を写真にとり、そこに住む人々の話を聞く。青春時代の話は、思い出の建物と共に語られているが、メインは今の函館がどうなっているかだ。アチコチがさび付いてはいるが、昔からの建物は今現在も現役らしい。

観光地である函館だが、作者が訪れるのはバリバリの観光地ではなく、自分の思い出の地だ。そのため、古臭い建物がそのまま残っている場面も多々ある。作中では石川啄木についても語られている。地元民にとっては重要な人物なのだろう。

そのあたりについても、興味がなければ辛いかもしれない。函館、石川啄木、そのほかの漁業や現在の函館の状況まで。写真だけ見ると、ちょっと昭和の香りが強いように思えてくるのだが、間違いなく平成の函館の姿なのだろう。

自分も函館には一度行ったことがあるので、それなりにイメージはわく。青函トンネルができる前の船の話が最も興味深かった。連絡船の運転士が当時を語るのだが…。船から飛び降りて自殺しようとする乗客がいるなんて話は衝撃的だ。

船員からすると自殺しそうな乗客というのは見ていてなんとなくわかるらしい。船から飛び降りて海でおぼれてそのまま遺体が上がらない場合もある。無事に助かったとしても、それは本人にとっては不幸な結末であるかもしれない。

函館に思い入れがある人は楽しめるだろう。



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