ゴールデンボーイ


 2019.1.31      元ナチの老人とトッドは一連托生 【ゴールデンボーイ】
                     
ゴールデン ボーイ
評価:3

■ヒトコト感想
原作を読んだ印象としては、強烈な引きの強さがあった。高校生のトッドと元ナチの将校であったクルトの駆け引きが面白い。本作も、トッドが冷静でありながら生意気な表情と態度を示す。クルトは老人でありながら、元ナチの将校らしい意思の強さを持ち合わせている。最初はトッドが老人を脅す形だったのが、いつのまにか老人がトッドを脅迫するような形となる。

結局のところトッドと老人は一蓮托生となり、輝かしい未来があるトッドの方が、失うものが大きいだけに不利となる。映像化され、よりトッドの輝かしい未来が周りと対比するような形で描かれている。ラストでは老人の正体がバレ、大騒ぎとなるのだが…。その時のトッドの心境を思うと気が気ではない。

■ストーリー
ロスに住む成績優秀な高校生トッド(ブラッド・レンフロ)は、ナチスによるホロコーストの研究を続けるうちに、近所に住む老人(イアン・マッケラン)の正体がかつてアウシュヴィッツ収容所副所長で「吸血鬼」と恐れられた戦争犯罪人クルトであったことを知る。トッドは彼を脅して収容所にその実態を聞き出そうとするが、そのうち己の内に秘めた悪の心が膨れ上がっていく…。

■感想
原作のハラハラドキドキ感をそのまま味わうことができた。多少古臭さは感じるが、少年トッドが興味本位から元ナチスの将校で今は身分を偽りアメリカ人として生活する老人を見つけ出す。そこでの最初の駆け引きが秀逸だ。とぼける老人はひたすら自分は無関係だと言い続ける。

数々の修羅場を潜り抜けてきた老人に対して、トッドは理路整然と言い返す。そして、老人を脅す。トッドは頭がよいのだが、どこか異常さを感じさせる。老人がナチスとしてどのような悲惨なことをやったのかを聞きたがる。やはり異常な心理だ。

老人とトッドの交流は、それなりに続くのだが、トッドの成績が急降下するという弊害が発生した。そのことによりトッドは窮地に立たされるのだが…。そこで老人が機転をきかせてトッドのピンチを救う…。老人とトッドは共通の秘密を共有する同志のような立場となっている。

トッドは老人のおかげで成績が元に戻り、周りからの信頼を得ることができる。老人とトッドの関係は、最初はトッドが有利だったのが、いつの間にか老人に主導権を握られてしまう。百戦錬磨の手練れである老人にトッドは操られる形だ。

老人の策略にはまりトッドは殺人の片棒をかついでしまう。そして…。結末がすばらしくドキドキする。トッドには輝く未来がまっている。ただ、それは老人と共有した秘密がバレないことが前提なのだが…。老人がピンチに陥ることで、トッドは自分の未来がどうなるかの不安がよぎる。

この流れがすばらしい。すべてをあきらめた老人が逮捕されると、トッドのことも道連れにするのではないか?そうでなくとも、トッドのことがFBIにバレるのではないのか。この緊迫感がすばらしい。

原作に負けない良作だ。



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