極悪専用 


 2021.1.22      訳アリな者たちが住む極悪専用マンション 【極悪専用】

                     
極悪専用 文春文庫/大沢在昌(著者)
評価:3
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■ヒトコト感想
セキュリティ完備。部外者は立ち入ることができない謎のマンション。そこの管理人助手とされた男の物語だ。タイトルどおり、そのマンションは法外な家賃をとることと引き換えに、入居者以外が中に入ることはできない。ヤクザが追い込みにきたとしても入らせない。マンション内は強固なセキュリティに守られてはいるが、一歩外にでると、外のことはまったく気にしない。

近辺で死者がでると、マンションの管理会社から処理班が送られ、あっという間に死体が跡形もなく消え去る。このマンションで巻き起こる様々な事件が描かれている。強烈なのは、マンションの一歩外にでると、そこでマンションの住人が殺されよとも一切関知しないというドライさだ。

■ストーリー
裏社会の大物を祖父に持つ俺は、ヤンチャが過ぎた代償に、奇妙なマンションに管理人助手として送り込まれる。そこは武器でも毒物でも持ち込み自由、死体が出たら管理人が処分するという、入居者全員極悪人のマンションだった!命がけで業務をこなし、俺はシャバに戻れるのか?ノワール×コメディの怪作。

■感想
序盤ではマンションのしきたりや厳しい管理人の動きに圧倒される管理人助手という流れがある。そこから、異常な住人たちとの交流が描かれている。殺し屋に狙われるような人物がマンションに入居している。ハッカーや毒物を調合する老婆、そして元CIAなど人種や老若男女問わずマンションに入居している。

ハッカーがヤクザに狙われるエピソードでは、外でヤクザたちがどれだけ騒いでもマンションに入ることはできない。そんな時、マンション内から外にでようとする入居者がいたのだが…。ここでの圧倒的なドライな対応が強烈なインパクトがある。

管理人も特殊だ。マンション内のセキュリティを守ることだけを考え、外でどのようなことが起きても興味はない。マンションにアイドルが入居し、しつこいストーカーから守るという流れとなる。ただ、ストーカーたちは、SNSへ情報をUPしようとする。

マンションの他の住人のプライバシーが侵される危険性があると考えると、あっさりとストーカーたちを始末したりもする。死体がでたとしても、それを会社の処理班がさらりと処理し、何事もないように終わっている。

管理人の過去や元恋人などが登場しマンション内は混とんとなる。強固なセキュリティとして有名なマンションの入居者を始末するために、特殊な殺し屋たちは最後の手段を考え始める。殺し屋は入居者としてマンション内に入り込み、部屋ごとマンションを爆発させターゲットを殺害しようとする計画だ。

ここまでしなければターゲットを破壊できないほど固い守りで有名なマンション。歴代の管理人助手が4ヶ月もたずに何らかの事件や事故に巻き込まれ命を落とす。とんでもないマンションだ。

こんなマンションには入りたくない。



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