2021.6.21 主役級のアレンが常に陰鬱な表情をしている【ゲド戦記】
ゲド戦記[ 岡田准一 ]
評価:2.5
■ヒトコト感想
ゲド戦記は過去に劇場で見た。その時の内容はほぼ覚えていないのだが、面白くなかったことだけ覚えていた。あらためて見ると、やはり王子のアレンが主役かと思いきや、実はハイタカがメインの作品となっている。アレンのキャラが陰鬱であり、少女テルーやハイタカとの出会いで変わっていくのだが…。
アレンに魅力がないのが面白くないと感じる一番の原因かもしれない。悪役であるクモは、ただの悪役でしかない。ハイタカには十分魅力があるのだが、悪役に対する魅力とアレンがぼんやりとしているのでワクワク感がない。もっと魔法なりで映像的なインパクトがあればよいのだが…。長大な原作があるので、あまり脚色はできないのだろう。ジブリらしくない作品だ。
■ストーリー
西海域の果てに棲む竜が、突如、人間の世界に現れた。そして、それと呼応するかのように、各地で作物が枯れ、家畜が倒れていく。世界の均衡が崩れつつあった。災いの源を探るゲドは、旅の途中、国を捨てた王子アレンに出会う。心に闇を持つ少年は、得体の知れない“影”に追われていた。二人は、都城ホート・タウンにたどり着く。
そこでは、人身売買が行われ、麻薬が蔓延し、売っている物はまがい物ばかり。表面的には陽気で騒々しかったが、行き交う顔からは実在感が失われていた。街をさまようアレンは、謎の少女テルーを人狩りの手から救い出すが、彼女は少年を拒絶する。――世界に兆す災いの背後には、クモと呼ばれる男がいた。“死ぬこと”を誰よりも怖れるその男は、かつてゲドと戦い、そして敗れた大魔法使いだった。
■感想
冒頭、アレンが影に侵食されると明らかに顔つきが変わり、自分の父親に剣を向ける。アレンが何かおかしな状態になっているのはわかる。アレンが主役かと思いきや、メインはハイタカだ。旅をしている大賢者何かを極めた者独特の圧倒的な余裕をもちながらの旅となる。
そんなハイタカとアレンが出合い、そこで一緒に旅をすることになる。少女テルーとの出会いや人身売買をしている組織の悪役などわかりやすいジブリ風なキャラが登場しているのだが、アレンの表情が常に陰鬱なのが本作のポイントなのだろう。
ハイタカとアレンは、ハイタカの知り合いの農家の家に居候となる。ここでテナーと再会するのだが…。アレンとテナーの二人が終盤まで、アレンは何かにとりつかれたように陰鬱な表情をし、テナーは何かに怒るような表情をする。
このふたりにひそかに確執があるのは観衆は理解しているのだが、それ以外にも何かがあると予想してしまう。ハイタカがすばらしい魔法使いというのはわかるのだが、特殊な魔法を使うシーンはほとんどない。悪役のクモが登場したことにより、ハイタカの良さが際立っている。
アレンとテナーが和解し、ふたりの心が前向きとなる。そこに龍が登場してくる意味が少しよくわからない。ゲド戦記としては、長大な原作なので何かしら深い理由があるのだろうが、本作だけ見てもまったく意図が伝わらない。なんだかよくわからないまま、アレンとテナーが覚醒し悪役のクモを倒しているというような感じだ。
ストーリーが消化不良というのはあるが、全体としてキャラクターに魅力がない。そのため、見ていてもワクワク感がわいてこない。
やはり既存のジブリ作品と比べても異質な作品だ。
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