ゲド戦記


2006.8.15 20年前に戻った絵柄 【ゲド戦記】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
最近のジブリ作品しか見たことがない人には違和感を感じるだろう。本作を見てすぐに思ったのは絵が20年は戻っているということだ。どうゆうことかと言うと、20年前に作られたナウシカと同じレベルの絵だということだ。これが意図的なものなのか、それともその程度のレベルしかなかったのか・・・。どちらにしても絵から大部分の印象を受けるアニメとしては致命的かもしれない。ストーリーも長い原作を無理やり要約したようで、ところどころ意味がわからなく、全体的にはとてもしょぼい印象しか残らない。これはやはり監督の力がどれほど重要かという現れなのか。

■ストーリー

竜が人間の住む世界に現れて共食いを始めるなど、異変が起こりはじめた多島海世界“アースシー”。異変の原因を探るべく旅に出た大賢者ゲドことハイタカは、その途中で父王を刺して国を飛び出してきたエンラッドの王子・アレンと出会った。2人はともに旅を続け、ハイタカの昔なじみ・テナーの家へ身を寄せる。しかしテナーと共に住んでいた少女・テルーは、心に闇を持ち自暴自棄となるアレンを嫌悪するのだった…。

■感想
ロード・オブ・ザ・リング、ナルニア国物語。それらと並んで評価されているゲド戦記。原作は前二つと同じようにバカ長い。前者の2作品は原作の長さに合わせて何部構成にもなっているが、ゲド戦記に限ってはなぜか一作で全てを網羅しようとしている。そうすれば当然どこかに歪みが生まれてくる。それがうまい具合にオリジナルぽく、すばらしい作品に昇華させていたのが宮崎駿作品のはずだ。今回は息子の五郎のためか明らかにクオリティの低い作品に仕上がっている。

テーマも本来なら壮大な物語のはずが、一部エピソードを抜き取っただけのような形なので、どうしてもこじんまりとした普通のファンタジー作品に成り下がっている。パッと見た印象では王子であるアレンが主人公となってはいるが、そのおかげでゲドの壮大な魔法世界での物語。ちょうどハリーポッターのような感じになるはずが、いつの間にか精神世界で一人のうじうじとした少年の物語に成り変わってしまっている。これはこれでありなのかもしれないが、まったく別の作品になっている。

全体的に暗い雰囲気で、結局最後には多少希望が持てる終り方だったが、子供達に進んで見せるべき作品かというと悩んでしまう。暴力的な描写も多く、後半のグロテスクな場面や結末間近の気持ち悪い絵など、ちょっと拒否反応を起こす人もいるかもしれない。絵のクオリティが低いとは言いながらも昔ながらのジブリファンにはどこか懐かしさを感じるかもしれない。今までの貯金でかろうじてそれなりの評価をされているが、これがポッと出の会社が作った作品ならば酷評されていただろう。

恐らく
否定的な意見が多いとは思うが、初監督ということでそのチャレンジ精神は評価してもいいかもしれない。



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