2020.3.31 外務省職員の暗部を実名で暴露 【外務省犯罪黒書】
日本国外務省検閲済 外務省犯罪黒書 [ 佐藤 優 ]
評価:3.5
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■ヒトコト感想
佐藤優が外務省の暗部を暴露する。他作品でもジャブ的に実名を交えながら外務省の悪の部分を発表していた。本作は全編外務省の暗部のみの構成となっている。さらには外務省に照会しているので、とりあえずは本作の内容はすべて外務省も認めたということになっている。
それにしても、実名で不倫だとか機密費を貰っているだとか、出世のために相手を追い落とすだとか、非情な言葉が続いている。自分がこの実名を出された側だったら、恥ずかしくて表を歩けなくなる。同じ外務省の内部であれば、周知の事実かもしれないが、家族や親せきにどう思われるか。今までは外務省のエリート官僚と思われていたのが、実はとんでもない人物だと思われてしまう。耐えられない状況だ。
■ストーリー
2002年5月14日に東京地方検察庁特別捜査部によって、外務省関連の国際機関「支援委員会」から2000年4月にイスラエルで開かれた国際学会に学者派遣の費用を支出したことが背任にあたるとの容疑で逮捕された私は、2006年当時は「起訴休職外務事務官」、つまり外務省職員の立場にあった。そのため、この連載の原稿はすべて掲載前に外務省に届け出ている。
事実誤認の指摘ならば、もちろん私は訂正に応じる用意があった。 だが、外務省からは「公の場で論じることは適当ではない」「(表現には)十分留意ありたい」などという返事が戻ってくるだけで、「内容が誤っている」という指摘は一度もなかった。もっとも、本書の内容は基本的に鈴木宗男氏の質問主意書(後述)によって事前に確認済みなので、外務省が文句をつけられるワケはないのだが─。それだから、本書の内容はすべて真実である。
■感想
外務省の内部はどうなっているのか。最も驚いたのは、外務省が給料以外に法外な手当てを課税なしでもらっているということだ。そのため、6千万のマンションを一括で買えたりもする。俗にいう言う手当が厚いということなのだろう。
手当だけで50万以上もらっている。うらやましいかぎり限りだ。海外に赴任するのは確かに生活としては大変かもしれないが、数年いればかなり蓄財できる。それだけ激務だというのもわかるのだが、想像以上に手当をもらっていることに驚いたのは間違いない。
外務省職員の犯罪についても実名を出して語っている。海外赴任中に交通事故で相手を死亡させても、外交特権で逃げ切ってしまう。内部的にはちょっとした謹慎ですませる。なんだか被害者からしたらやりきれない思いだろう。
チカンや覗きなども外務省職員として補導されてしまう。それらがすべて全て事実かという質問主意書を投げると、外務省はすべて答えている。ゆえに、本作に書かれていることはすべて外務省も認めた事実ということだろう。となると、実名を出されて批判された人は相当辛いだろう。
外務省内部の権力争いや政治家との付き合いについては、他作品でも語られているが、本作はより強烈な描かれ方をしている。実名をだして、出世するためには何でもする人物とまで言われている。尻に火のついたローソクを立てたりするなど、ありえないような恥ずかしい話だ。
出世するためには力のある政治家に覚えてもらわなければならない。そのためのごますりがすさまじい。ひたすら相手にごまをすりヘコヘコする。そして都合が悪くなると、相手をあっさり切り捨て敵となる。実名を出されると、他者から信用を無くすような書かれ方だ。
実名というのがかなり強烈だ。
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