ドリームキャッチャー3 


 2019.3.7      指揮官カーンの強烈な異常性 【ドリームキャッチャー3】

                     
ドリームキャッチャー(3) 新潮文庫/スティーヴン・キング(著者),白石朗(訳者)
評価:3
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■ヒトコト感想
までは謎のエイリアンに襲われた地球人たちの状況が描かれていた。本作ではそれをせん滅するべき軍隊の状況がメインに描かれている。結局のところ地球に降り立ったエイリアンと感染するウィルスのようなものは、地球の環境に合わず、自然に消滅していくことがわかった。ただそれでも、一度感染すると死が待っているだけだ。

世間に対しては報道規制を敷き、真実を半分だけ伝える。ただ、地球人が絶命することはなく、エイリアンとの対決にも最終的には勝利できることが確定している。ひとりの例外の存在により、エイリアンたちが地球で生き残る方法が残されていた。それは、ジョーンジーの体に入り込み、ジョーンジーの意識と共に生存しているエイリアンだった。

■ストーリー
エイリアンとともに出現した寄生生物は、人体にとり憑き、内臓を食い荒らして凶暴化していった。さらに驚異的に繁殖する黴状の生物。いち早くエイリアン侵略の情報をつかんだ軍は、司令官カーツの指揮の下に森林一帯を隔離し、住民もろとも侵略者を殲滅する作戦を強行する。その頃、ジョーンジーの身体を乗っ取ったエイリアンは、ある計画に自らの生き残りを賭けようとしていた。

■感想
エイリアンが地球に持ち込んだ寄生生物は、人間を凶暴化し最後には人を死にいたらしめる。ただ、寄生生物は地球の環境になじめないため、これ以上感染が拡大する危険性はない。軍隊の力によりエイリアンたちは消滅したかに思えたのだが…。

本作では軍隊の司令官であるカーンが強烈な個性を放っている。まず何より規律を重んじて、少しでも自分の言葉に反抗した部下に対しては、あっさりと足先を拳銃で吹き飛ばしたりもする。強硬な司令官は自分の信念を曲げることなくひたすら突き進むだけだ。

カーンの腹心であるオーウェンが裏切った。それはジョーンジーの幼馴染であるヘンリーが、感染生物に乗っ取られたジョーンジーの危険性をオーウェンに伝えたからだ。そのほかの寄生生物については、ほっといても問題がない。隔離された感染者たちはカーン率いる特殊部隊により焼き殺されることが確定している。

地球を救うためには、ほかの感染者たちよりもジョーンジーを止めなければならないと考えるヘンリー。オーウェンはヘンリーの言葉を信用して行動を共にすることになる。

強烈なのは、カーンの独裁的な行動と、それを知る副官のオーウェンが、常にカーンの裏をかく部分だ。すべてを理解したカーンはオーウェンに対して怒りの気持ちを強くする。カーンはある種の異常者なのだろう。サイコパスかもしれない。

寄生生物に体をのっとられたジョーンジーの方が、まだまともに思えてくる。ジョーンジーとヘンリーは少年時代の回想を繰りかえしている。ジョーンジーに取りついた寄生生物(グレイボーイ)の目的が何なのかが最大の気になる部分だ。



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