2022.2.18 青春放送部モノからミステリーへ 【ドキュメント】
ドキュメント(1) [ 湊かなえ ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
「ブロードキャスト」から続く物語。陸上を挫折した町田が、放送部としてテレビドキュメント部門のコンテストへ応募しようとする。ドローンを手に入れるため市民マラソンに放送部で参加するなど、その前段階が詳細に描かれている。そこからドローンで撮影を続けていく過程で、陸上部のホープである良太がタバコを手に部室から出てくる姿が撮影されてしまう。
そこからどのような経緯でそうなったのかが、ミステリー形式で語られることになる。良太がタバコを吸っていたのか。誰かが良太を陥れるために仕掛けた罠なのか。その場合、誰がそんなことをしたのか。高校生らしい人間関係の機微が描かれており、部活という場も重要な要素となっている。
■ストーリー
中学時代に陸上で全国大会を目指していた町田圭祐は、交通事故に遭い高校では放送部に入ることに。圭祐を誘った正也、久米さんたちと放送コンテストのラジオドラマ部門で全国大会準決勝まで進むも、惜しくも決勝には行けなかった。三年生引退後、圭祐らは新たにテレビドキュメント部門の題材としてドローンを駆使して陸上部を撮影していく。やがて映像の中に、煙草を持って陸上部の部室から出てくる同級生の良太の姿が発見された。圭祐が真実を探っていくと、計画を企てた意外な人物が明らかになって……。
■感想
かつて陸上に力を入れていたが、怪我から陸上を諦め、放送部に入ることになった町田。放送コンテストに力をいれたりもする。そこからドローンを手に入れるために市民マラソンに参加したりもする。ドローンを使いテレビドキュメント部門の撮影を行おうとする。
陸上の若手ホープである良太を中心にドキュメントを撮ろうと考え、中学時代の恩師にまで話を聞きに行ったりもする。前半はまさにコンテストに挑む放送部の高校生たちの物語だ。その中で、町田が元陸上部ということで、そのあたりの葛藤が描かれていたりもする。
高校の部活となると、レースに出る出れないがある。駅伝のメンバーに選ばれるかは実力主義だ。その中で、1年の良太が出場するということは、別の上級生が出れないということに繋がる。実力社会なだけに、部活のメンバーは理解しているはずだが…。
ここで、ドローンでの撮影時に良太がタバコを持ち部室から出てくるシーンが撮影されてしまう。まず、ここで放送部内部でこの映像を教師に見せるかが議論される。不祥事があった場合は、最悪陸上部全体の責任となる重さが、放送部にものしかかってくる。
高校生のドキュメンタリー撮影物語が、良太を陥れた者が誰なのかのミステリー作品へと変わっていく。そして、犯人はある程度想定できてしまう。高校生らしい恋愛感情や部活での立場の違い。そして、駅伝にでることの重要性。さらには、ドキュメンタリーを撮ることも、大きく影響していた。
当人たちの思い込みもあるのだろうが、高校生の暴走という感じなのだろう。前半と後半で物語の雰囲気が大きく変わっていく作品だ。ミステリーとしてのトリックの複雑さはない。
高校生らしい初々しさはない。
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