読書の価値 


 2018.10.15      本を読むのが苦手な作家 【読書の価値】

                     
読書の価値 / 森博嗣/著
評価:3
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■ヒトコト感想
森博嗣が読書について語る。イメージとしては、効率的な読書について語るのかと思いきや…。実は作者は近視であったため、本を読むのが遅く苦手だったらしい。てっきり作家になっているだけに、小さいころから読書三昧の生活を続けてきたのかと思っていたのだが…。

それにしても、本を読むのが遅く嫌いだったというわりには、名古屋大学の大学院にまですすんだのはすごい。作者が読書の価値について語るのだが、常に合理的な考え方をするのはすばらしい。意外なのは、作者は新しい分野に興味をもつために、今までの自分ではまったく興味のなかった雑誌などを月に1冊は買うようにしているらしい。その結果、どういう広がりを得られたのかは不明だが…。

■ストーリー
わからないことは何でも検索できる時代だ。娯楽だって山のように溢れている。それでも読書でしか得られないものがある――。読書が苦手でしかたのなかった少年は、どのように本と向き合い、大学教授・ベストセラー作家となったのか。並外れた発想力と知的生産術を可能にする「読書の効能」がいま明らかに

■感想
作家になるような人種であれば、間違いなく読書が好きなのだろうと勝手に想像していた。それが実は作者は読書が大の苦手だということに驚いた。あれほどのスピードでミステリー小説を量産していた作者が、実は近視のため本を読むのが苦手だった。

読むのは苦手だが、書くのはPCで書くので問題ないらしい。書くよりも推敲する方が時間がかかるというちょっと変わったパターンだ。やはりある意味天才なのかもしれない。本を読むのが苦手でも名古屋大学の院まで卒業できるのだから…。

読むのが苦手でも、海外ミステリーは読んでいたようだ。その中で、最初にミステリーを読んだ際に、序盤で意味が分からずに先生に尋ねに行くくだりは面白い。ミステリーなので、最後まで読むことで意味が判明する作品もあるだろう。

それに気づかづに純粋に質問するというのが、やはり普通ではない。頭の中の回路が常に合理的な信号を送るようになっているのだろう。忖度だとか、余計な気をつかうことはできないのかもしれないが、論理的な文章を書くにはもってこいの考え方なのかもしれない。

ベストセラー作家が読書が苦手というのは違和感しかない。そして、そんな読書が苦手な作者だけに、あまり小説も読まないらしい。にもかかわらずヒットをとばす。作者自身も小説家になりたいからと他者の小説を読む意味はないと語る。

独自の世界観を売りにするならば、他の小説など参考にしてはいけないのだろう。といっても、世間の作家は子供のころは本好きな少年少女であった人がほとんどだ。やはり作者は異端なのだろう。そして、作家としてだけでなく、生き方も異端だ。

今現在の作者は誰もが憧れるような生き方をしている。



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