ダライ・ラマに恋して 


 2021.7.11      ダライラマの出自を思うと、前世は存在する? 【ダライ・ラマに恋して】

                     
ダライ・ラマに恋して (幻冬舎文庫) [ たかのてるこ ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
作者が旅をする。今回はダライ・ラマに会いに行く。自分の中ではチベットやダライ・ラマの知識がほとんどないため、本作を読んで驚いたことがいくつかある。まず、チベットという国が中国に併合されていたことに驚いた。そして、ダライ・ラマが危険を感じてインドへ亡命していたことにも驚いた。

あの、眼鏡をかけたおじいさんはなんとなくイメージできる。中国とチベット自治区の関係や、中国とインドの関係。そして、ダライ・ラマに会うことがどれだけ難しいのかが伝わってきた。また、インドやチベットの人々の素朴な生活というのも作者の目を通してインパクトある流れとなっている。人の輪廻転生について考えさせられるようなエピソードが多数ある。

■ストーリー
世界33カ国を駆ける“旅人OL”が大失恋の末に救いを求めたのは、ダライ・ラマだった!!心に暗雲を抱え、チベット仏教の摩訶不思議に驚愕しつつ、てるこはチベットとインドをつき進む。

■感想
前作では作者の旅先での恋愛のことがこれでもかと描かれていた。今回は、ダライ・ラマに会いに行く物語となっている。チベットが国として存在していたのが、中国により併合され、現在はチベット自治区になっている。まずこの事実を知らなかった。

ダライ・ラマという名前は聞いたことがあるが、具体的にどのような人物かは知らなかった。驚きなのは、ダライ・ラマが輪廻転生されて生まれているということだ。先代のダライ・ラマが死ぬとすぐに次のダライ・ラマの生まれ変わりが探し出される。嘘か本当か。ただ、本作を読んでいると本当のことのように思えてくる。

作中には前世のことをしっかりと覚えている10歳の少女が登場してくる。強烈なのは、会ったことのない前世の父親や母親のことを話しをしたり、前世の女の子が死んでから、新たに生まれた今の女の子の存在があるという部分だ。

本作だけ読むと前世はありえるのだと思えてしまう。娘を亡くした母親からすると、自分の娘の生まれ変わりの女の子が、娘が死んだ年に成長するというのは感慨深いものがあるのだろう。仏教徒だからというのは関係なく、前世は存在するのだと思えてしまう。

インドやチベットでの生活も描かれている。独特な食習慣。そして、独特な宗教観というか考え方。作者も同じように地元のチベット人に執着をなくすようにとアドバイスされる。確かに人は執着するからこそ、余計な物事が発生するのはある。

ダライ・ラマと会った際には、その感動がこれでもかと表現されている。普通の人では会えない。偶然が重なり会うことができる存在。家の中に他人が次々と入ってきては勝手に食事をふるまっていく。人を助ける精神というか、今の日本では考えられない習慣だ。

インドとチベットの独特な雰囲気が伝わってきた。



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