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 2020.3.13      リリーフランキーはダメ男の典型だ【blank13】

                     
blank13 [ 高橋一生 ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
借金まみれで失踪した父親が余命3ヶ月カ月の状態となり帰ってきた。ダメ親父に対しては、つれない態度をとる長男の対応が普通だろう。次男はキャッチボールをしてもらったよい思い出があるため、父親をお見舞いに行く。長男の態度を正当化する根拠は序盤に用意されている。父親が失踪してからは母親が夜は水商売、朝は新聞配達。家では内職とフル稼働して子供たちの生活を支えていた。

借金取りが来なくはなったが、母親の強烈な姿というのはインパクトがある。新聞配達中に事故にあっても、時間がないからとそのまま配達を続け、顔に青タンを作った状態でスナックに働きにでたりする。最後には父親の葬式で、父親がどんな人物かということが知れるのだが…。なんだか奇妙な作品だ。

■ストーリー
13年前に突然失踪した父が余命3ヶ月で見つかった。借金を残し消えた父に母と兄は会おうとしなかったが、子供の頃キャッチボールをしてくれた優しい父を忘れられないコウジは入院先を訪ね再会を果たす。しかし、2人の間にある溝は埋まらないまま、父はこの世を去った。果たして父は13年間なにをしていたのか?葬儀に参列するのは数少ない友人たち。彼らが語る父のエピソードによってコウジは家族の誰も知らなかった父の真実を知り、もう取り戻せないと思っていた13年間の空白が少しずつ埋まっていく…。

■感想
「万引き家族」に似た雰囲気を感じずにはいられない。父親役をリリーフランキーが演じ、松岡茉優も出演している。ダメ親父を演じさせたらリリーフランキーの右にでるものはいない。徹底的にダメ親父だ。借金を作り、借金取りが家にまで押しかけてくる。電気を付けず子供たちとひっそり部屋の中でカレーを食べる。

これほどみじめな父親像はないだろう。ただダメ親父にもよいところはある。仕事人間ではないので、子供との遊びに付き合うことができる。次男はそんなよい父親のイメージを持ち続けている。

借金を作るだけ作り父親が失踪する。その尻ぬぐいをするのは母親だ。ひとりで二人の息子を育てるために一日中働き続ける。顔を怪我しようが夜の仕事にせいをだす。それはすべて子供たちを育てるためだ。そんな母親の姿を身近で見ていた長男は父親に対しての激しい恨みをもつことになる。

失踪した父親が余命3ヶ月となり戻ってくる。長男と母親は一度も会いに行かない。これは当然のことだろう。そこまでのことをしてきた父親だからだ。ただ、次男だけはお見舞いに行ったりもする。

父親が死に葬式がとりおこなわれる。家族の低評価とはうらはらに、数少ない参列者たちからは父親の思い出が語られる。ダメ人間かと思われた父親が、実は他人に対してはすこぶるやさしかった。父親のイメージが一新されるが、だからどうだというのはない。

ダメな父親は、家族生活には向いてない。最後まで結婚せずひとりっきりで生活していれば、まだよかったのだろう。長男と次男がなんとも言えない微妙な表情で参列者が語る思い出を聞いているのが印象に残っている。

リリーフランキーはダメ親父の象徴だ。



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