アトランティスのこころ 上 


 2018.8.7      超ドケチな母親との確執 【アトランティスのこころ 上】

                     
アトランティスのこころ(上) 新潮文庫/スティーヴン・キング
評価:3
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■ヒトコト感想
本作を元にした映画作品は見たことがある。その時の印象は強くノスタルジックな気分になったということだ。そんな映画の印象をもったまま本作を見たのだが…。原作はかなりダークな雰囲気になりそうだと感じた。テッドの良い人加減は変わらないのだが、母親がかなりケチで厭なキャラクターとなっている。さらには、ボビー自身もグレてしまう。

まだ上巻なので、これから下巻で大きく流れは変わるのかもしれないが…。ボビーとキャロルの淡い恋物語の印象も弱い。あるのは、テッドの特殊能力と、いじめっ子たちの強烈さ、さらには母親の傲慢な態度だ。ボビーがグレてからどのようにしてテッドとつながりができるのか。原作をかなり滑らかにしたのが映画作品だということは理解できた。

■ストーリー
初めて彼女にキスした少年のあの夏、それ以上のキスが二度と訪れはしないことを、ぼくは知らなかった…。1960年、11歳のボビーとキャロル、サリー・ジョンは仲良し3人組だった。だが、ひなびた街に不思議な老人が現れてから、彼らの道はすれ違い始める。少年と少女を、母を、街を、悪意が覆っていく―切ない記憶へと変わってしまう少年の夏を描いた、すべての予兆をはらむ美しき開幕。

■感想
映画版を先に見ているので、その印象が強いが、原作はよりエッジがきいているというか、キャラの個性が強くなっている。ボビーの母親はそのドケチ具合がすさまじく、金、金、金、そしてボビーに対してはことさら金については厳しく育てている。

ボビーが金に執着し、その結果母親から反発するのも納得の流れだ。ボビーは成長しグレることになるのだが、その原因のひとつには母親の厳しさがあったのだろう。ボビーとテッドの関係は映画版での印象そのままだ。テッドの不思議な能力とボビーが次第にその能力に影響される様が描かれている。

ボビーとキャロルの恋物語は、映画版ほどほのぼのとした感じではない。わりとあっさりと終わっているような感じだ。それよりも、ボビーとキャロルがいじめっ子に攻撃されるくだりや、ボビーがのちにいじめっ子にやりすぎと思われるくらいの反撃をするシーンなどが強烈に描かれている。

ボビーがいじめっ子に対して反撃し、そのことを警察に調べられた際のなんとも言えないしらばっくれぶりはすさまじい。そこには母親を巻き込んでの芝居となるのだが、この行為を境にボビーは大きく変化していったということなのだろう。

上巻に関しては、先が見えてこない。ボビーがどのような方向へ成長していくのか。テッドとボビーの関係がどのように変化していくのか。映画版の内容はまったく無視してもよいのかもしれない。下巻でどのような変化があるのか。

ボビーとテッドの関係はそれなりに変化していくのかもしれない。下巻でボビーのグレ具合が変化するのか。そのきっかけとなるのは、テッドとの再会にあるのか。さらには、母親とボビーの関係もどのように変化していくのかがポイントかもしれない。

下巻はどのように変化していくのかが楽しみだ。



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