アトランティスのこころ


 2009.5.14  誰もがなつかしく思う風景 【アトランティスのこころ】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
まるでALWAYSだ。本作の映像をなつかしく思う米国在住のおじさんたちは、ほのぼのとしながら、なつかしさに涙することだろう。テッドの特殊能力や勇敢なボビーの行動など、確かに興味深い部分ではある。しかし、一番目に付くのは、この時代独特の雰囲気だ。遊園地であったり、お祭りであったり、川で遊び、自転車をほしがる。子供時代をなつかしみ、同様の経験をしてきた大人たちにとって、本作はとても心に残る作品となることだろう。日本人には、ノスタルジックな気分は半減するかもしれないが、それでも子供時代の思いというのは万国共通なものがある。本作を見てしみじみし、なつかしく感じたならば、あなたはそれなりの年齢なのだろう。

■ストーリー

幼なじみの葬式に出席するため、久しぶりに故郷へ戻ってきたボビー(デイヴィッド・モース)は、かつてのわが家を訪ね、少年時代を回想していく。それは、母とふたりで住む家に下宿していた奇妙な老人テッド(アンソニー・ホプキンス)との日々だった。彼は人には見えないものを感知するという不思議な力を持っていた…。

■感想
ボビーの生活。それは子供時代に誰もが経験した生活だ。同年代の子と森を走り回り、川で遊ぶ。幼馴染に淡い恋心を抱きながら、遊園地でデートをする。お互いが好意を寄せ合いながらも、それ以上どうにかなることはない。近所の年上の悪ガキにいじめられながら、勇敢に立ち向かい彼女を助け、暗くなるまで疲れを知らずに遊びまわる。こんな映像を前面に押し出されると、誰もが懐かしい気持ちになってしまうだろう。これが同じ時代を生きたアメリカ人であれば、さらに強まるだろう。日本人でさえも、これだけノスタルジックな気持ちにさせるのは、相当映像としてのインパクトが強いということだ。

テッドが不思議な力を持っているのだが、それはもはやおまけでしかない。ボビーもその力に目覚めかけるが、そんなことはどうでもよい。ボビーを取り巻く様々な人たちをまきこみ、ボビーの子供時代は終わりをつげていく。駄目人間であったはずの父親が実は良い親父だったり、自分のことしか考えない母親が、痛い目をみてボビーの大切さに気付く。テッドは離れていくのだが、ボビーの中ではテッドがいたわずかな時間はかけがえのないものだったのだろう。ある意味、父親のいないボビーにとってテッドは擬似父親だったにちがいない。

ノスタルジックな映像と雰囲気を強調するように、少年時代のボビーに淡い恋心が目立ち始める。この相手の女の子がとても魅力的な笑顔を見せる。男を意識するギリギリの年齢。お互いが素直になれるこの時期だからこそ、二人の淡い恋を心地よく見ることができるのだろう。ボビーとキャロルだけでなく、もう一人、間に脇役の男の子がいてドリカム状態(男二人、女一人)なのも好感がもてる要因なのかもしれない。誰でも少しはある、淡い恋の思い出を刺激する映像が多数登場し、子供時代の思い出を美化して頭の中に思い描かせる効果がある。

結局何が言いたいのかよくわからないかもしれない。しかし、自分の子供時代を思い出せば、誰もが感動せずにはいられないだろう。



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