2018.10.8 オヤジたちの甲子園 【アゲイン 28年目の甲子園】
アゲイン 28年目の甲子園
評価:3
■ヒトコト感想
重松清原作の小説を映画化したらしい。小説が単行本として発売される前に映画が先行して上映されたのだろう。いかにも重松清らしい作品だ。元高校球児のおじさんたちがマスターズ甲子園に参加する。ただ、おじさんたちには、甲子園がらみでの苦い思い出があった…。高校最後の夏の県大会決勝を目前にして、仲間が傷害事件をおこして辞退せざるお得ない。
そんな経験をした元高校球児たちにとっては、甲子園という文字は見たくないのだろう。事件をおこした男の娘が、無神経にマスターズ甲子園の話をもってきたとなると、怒りがわくのもよくわかる。オヤジたちの心をくすぐる作品だ。ラスト間近で判明する真実によりすべてが納得できる。おじさんばかりなのに、このさわやかさは何なのだろうか。
■ストーリー
元高校球児が再び甲子園を目指す<マスターズ甲子園>の学生スタッフとして働く美枝は、坂町に大会への参加を勧める。予測がつかないことは敬遠する、いわゆるサビついたオヤジである坂町は「今さら」と断ったが、本当の理由はまた別にあった。坂町達が甲子園に行けなかった原因は美枝の父にあったのだ。28年前のある事件。それは美枝にだけは話したくなかった。
■感想
元高校球児のおじさんたちが、若き日を思い出し甲子園を目指す。そこに至るまでには、仲間が傷害事件をおこし、県大会の決勝戦を辞退したという苦い思い出がある。序盤はこの事件について情報が小出しにされる。
マスターズ甲子園の学生スタッフである美枝は、父親がそんな事件をおこしたことを知りショックを受ける。その状態から、事件にはマネージャが絡んでいただとか、マネージャをはらませただとか、厭な情報ばかりが小出しにされる。まさに美枝にとっては針の筵状態だ。
オヤジたちは大人になっても熱い。そして、様々な問題を抱えている。エースの高橋は、無職でハローワーク通いをしている。そして、そのストレスから家族につらく当たったりもする。あの傷害事件がなければ、自分はプロにいっていたと夢想する場面もある。
本作の主人公である坂町は、一人娘と絶縁状態にある。なんだか家族に問題を抱えているのがデフォルトの状態となっている。両家共に娘というのも、もしかしたら作者に娘がいるからなのかもしれない。
甲子園に力を注いだ元高校球児たち。オヤジとなってもその熱さは変わらない。マスターズ甲子園でオヤジたちが汗をたらしながら走る姿を見ると、なんだか涙がでそうになる。リストラされ無職となっても、家族が崩壊状態でも、オヤジたちは前にすすむしかない。
ラストではマネージャからすべての真相が明かされ、美枝の父親に対する誤解が晴れる。このあたり、なんとなくそんなオチだろうなぁ、と想像はできた。わかっていたとしても、ラストのキャッチボールする場面で家族たちと和解するオヤジたちは最高に良い。
おそらく原作小説も読むだろう。
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