七つの会議


 2021.6.6      ドラマ半沢直樹的な演出の数々【七つの会議】

                     
七つの会議 [ 野村萬斎 ]
評価:3

■ヒトコト感想
池井戸潤原作の映画化。原作はすでに読んでいる。連作短編集であり、最後には企業の不正隠蔽体質について語られている。ドラマ半沢直樹でおなじみの日曜9時の一連のドラマに登場してきた俳優たちが集合し半沢直樹風な演技を繰り返す。日曜9時のドラマが好きな人は間違いなくはまることだろう。

ぐうたら社員の八角が実は社内の不正を調査していた。定番として、それまで強権を振りかざしていた者たちが、八角の追及によりボロを出しオロオロする場面は強烈だ。序盤で課長たちが部長の厳しい営業ノルマの確認に対して緊張しオロオロする場面から、ラストでは親会社の社長に対して八角が啖呵をきるまで。この激しい上下動が本作のポイントだろう。池井戸潤作品の要素がぎっしりと詰まっている。

■ストーリー
都内にある中堅メーカー・東京建電。営業一課の万年係長・八角民夫(野村萬斎)はどこの会社にもいる、所謂“ぐうたら社員"。トップセールスマンである課長の坂戸宣彦(片岡愛之助)からはその怠惰ぶりを叱責されるが、ノルマも最低限しか果たさず、定例の営業会議では傍観しているのみ。絶対的な存在の営業部長・北川誠(香川照之)が進める結果第一主義の方針の元で部員が寝る間を惜しんで働く中、一人飄々と日々を送っていた。ある日突然、社内で起こった坂戸のパワハラ騒動。そして、下された異動処分。訴えた当事者は年上の部下、八角だった。

北川の信頼も厚いエース・坂戸に対するパワハラ委員会の不可解な裁定に揺れる社員たち。そんな中、万年二番手に甘んじてきた原島万二(及川光博)が新課長として着任する。会社の“顔"である一課で、成績を上げられず場違いにすら感じる原島。誰しもが経験するサラリーマンとしての戦いと葛藤。だが、そこには想像を絶する秘密と闇が隠されていた……。

■感想
中堅メーカーのダメ社員である八角を中心として様々な出来事が起こる。軽い部分では社内の無人販売のドーナツの売り上げ金額が合わないことがある。ちょっとしたミステリーであり、その犯人が別のエピソードで重要な役割をしている。

基本は何か不祥事がバレ、それが元になり地方へ飛ばされる流れだ。本作の最重要人物である坂戸は八角へのパワハラの嫌疑により、営業一課の課長から人事部付きとなる。実はこのパワハラ騒動も八角が仕組んでいたことだった。八角の得体の知れない恐ろしさが序盤に強烈にアピールされている。

ぐうたら社員でありながら営業部長の北川からは何も言われない。八角だけが特別扱いされているような雰囲気すらある。メインのエピソードとは別に、女子社員の不倫騒動や営業部と経理部の対立で、経理部の若手が営業部の不祥事を見つけ出すが、それをアベコベに北川に論破され経理部の若手は飛ばされてしまう。

本来なら北川が追い詰められるはずが、なぜか社長には絶大な信頼を得ている北川。このあたりの不自然な流れの理由はラストにつながることになる。

社内で八角が見つけた大きな不正は、北川や社長にまで上がっていた。それを調査する名目で八角は動いていた。後半になり、八角の正義の動きが判明するのだが、そこからは上層部の事なかれ主義が描かれ八角との反発が描かれている。

ここまで単独で内部告発するような動きをすると、サラリーマンであればその後どうなるのかは想像できるはずなのだが…。それにしても不正の内容がねじの強度不足というのは、イマイチだ。作中では大事のように語られているのだが…。本当にそうだろうか。。。

池井戸潤作品のテイストがぎっしりと詰まった作品だ。



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