2018.6.10 未解決誘拐事件の真実 【64-ロクヨンー 前編】
64-ロクヨンー前編 通常版DVD [ 佐藤浩市 ]
評価:3.5
■ヒトコト感想
横山秀夫原作の映画化。警察組織内の権力争いを描いた作品なのだが、強烈なインパクトがある。原作はかなり前の作品だが、原作を読んだ時の興奮を思い出した。広報官と記者クラブとの争い。上司や刑事部との主導権の握りあい。メンツやポストをめぐるドロドロとした駆け引き。64という誘拐事件の謎と相まって、目が離せない展開となっている。
前編である本作では、64の事件とそれに取りつかれた者たちが描かれ、さらには広報官という立場の辛さも描かれている。出演者は非常に豪華でちょい役ですら名の知れた俳優が演じている。ラストでは64を模倣した誘拐事件が発生する。このすさまじい熱量を見せられると、後編を見ないわけにはいかない。
■ストーリー
かつては刑事部の刑事、現在は警務部・広報官の三上義信は、常にマスコミからの外圧にさらされていた。そんな彼が、昭和64年に発生した未解決の少女誘拐殺人事件、通称「ロクヨン」に挑む。
■感想
昭和64年におきた少女誘拐殺人事件。担当した三上は事件を解決できないまま広報官へと異動させられる。警察内部のすさまじい権力争いと広報官の立場の辛さが描かれている。演じる俳優たちは豪華で、みな演技派なので非常に重厚な物語に仕上がっている。
誘拐された少女の父親の焦燥っぷり。誘拐事件でミスをした者の苦しみ。そして、責任をとらされた三上。そこにキャリア組が絡み、激しい権力争いが繰り広げられる。64事件を時効前に解決しようとする執念が伝わってくる作品だ。
広報官として上からの命令で、ある交通事故の加害者の名前を公表しないと発表した。すると、記者クラブから反発をくらい、ボイコットにまで発展する。このあたりは、広報官としての苦労が描かれている。三上自身は刑事に戻りたいと考えてはいるが、広報官という仕事にも誇りをもっている。
三上の葛藤は、64事件に取りつかれた者たちと出会うにつれ変わってくる。そしてラストの展開がすばらしい。刑事部長のポストをキャリア組に奪われたことに腹をたてた刑事部が仕事をボイコットしたかと思いきや、64を模倣した新たな誘拐事件が発生していた。
ここで前編は終了する。非常に先が気になる流れだ。64事件にはまだ隠された何かがある。それと模倣事件の関連はあるのか。刑事部の面々や広報室の面々、記者クラブやキャリア組。すべての男たちは非常に良い顔をしている。
憎たらしいキャラは、見るだけでイライラする顔をし、キャリアは落ち着いた言葉の中に高飛車な言動を含めている。警察内部の権力争いというドロドロとした世界が、原作の面白さそのままに、力のある俳優たちで映像化されている。
結末を知っているはずなのに、後編が気になって仕方がない。
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