2018.6.14 衝撃的な模倣誘拐事件 【64-ロクヨンー 後編】
64-ロクヨンー後編 通常版DVD [ 佐藤浩市 ]
評価:3.5
■ヒトコト感想
前編ではロクヨンの事件と広報官としての三上の立場が描かれていた。県警内部での権力争い。ロクヨンを模倣したような誘拐事件が発生するのだが…。後編では怒涛の展開となる。ロクヨンを模倣した事件の真相が明らかとなると、そこから犯人が浮かび上がってくる。最も衝撃的なのは、犯人を見つけ出したのが、ロクヨン事件の被害者家族である雨宮という部分だ。
犯人の声を聴いていたのは雨宮だけ。その声をたよりに、ひたすら電話帳で相手の声を聴きながら、犯人を見つけ出そうとする。ロクヨン模倣事件での緊迫したやりとりは見ているこちらまで手に汗握ってしまう。広報官としての役割と、そのほかの者たちの役割。上層部のことなかれ主義もまたポイントかもしれない。
■ストーリー
昭和64年1月5日。 関東近県で漬物工場を営む雨宮芳男の娘が誘拐された。犯人はサトウと名乗り、身代金要求額は2000万円。翌日、犯人は金をスーツケースに入れ、雨宮に車で運ぶことを指示した。身代金の入ったスーツケースは指示に従って川に投下され、回収されたスーツケースから金は紛失していた。後日、被害者の少女も死体となって発見される。迷宮入りとなったこの事件は、「64(ロクヨン)」と呼ばれた。後編。
■感想
広報官の三上は、ロクヨンの模倣事件である新たな誘拐事件を指揮車の中で目の当たりにすることになる。三上が目撃したのは、明らかにロクヨンの内部事情を知っている者の犯行だということ。このあたり、オチを知ると衝撃を受けるだろう。
捜査一課長すらも、真実を知っているようなそぶりを見せる。なぜ、この茶番のようなことをするのか。過去にロクヨン事件に取りつかれた者たちが、それぞれの心に決着をつけるためにひたすら行動するしかない。この強烈な流れというのは、見ていてドキドキしてくる。
娘を殺された雨宮の執念が伝わってくる。雨の日も風の日も、ひたすら電話ボックスに閉じこもり、電話帳に書かれている名前に電話をかけ続ける。そして、自分だけが聞いた犯人の声を頼りに、犯人を探し出そうとする。その結果が、ロクヨンの模倣事件へとつながっていく。
広報官として実名報道することの問題が、その後の展開にも活きている。三上と広報室の面々の信頼関係。さらには、記者クラブの記者たちも巻き込んでのロクヨン模倣事件を追いかけることになる。すべてが繋がっているのが衝撃的だ。
県警として刑事部長の座をキャリアに奪われるのか、それとも…。県警内部の権力争いは、そのまま、高い地位にいるものたちの現状維持するための圧力に変わる。自分の代で変なことを起こしたくない。無事に定年を迎え、天下り先でおいしくやりたい。
それらに翻弄される三上たち。真に事件を解決したい警察官たちと、自分たちを守りたい警察官たちは対立することになる。ロクヨン事件の真犯人が明らかとなってから、ロクヨンにとらわれ続けた者たちが解放される衝撃的な流れだ。
原作よりもシンプルで分かりやすいかもしれない。
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