50回目のファーストキス


 2020.1.5      眠ると記憶がなくなる衝撃【50回目のファーストキス】

                     
50回目のファーストキス [ 山田孝之 ]
評価:3

■ヒトコト感想
ハリウッド版のリメイク。事故で記憶障害が起きた女とその恋人の物語。目が覚めると前日の記憶がすべて消えており、事故直前の記憶に戻る。もし、自分がこの女性と同じ立場だったとしたら絶望的な気持ちになることだろう。今日どれだけいろいろな出会いや成長があったとしても、ひと晩眠ると次の日にはすべて忘れている。毎朝起きると常に事故直前の状態となる。

本人も絶望的だが、周りはさらに絶望的な気分となる。どれだけ仲良くしたとしても、次の日にはすべてを忘れている。究極は、朝起きると目の前には自分の子供がいる。毎朝記憶を上書きするための情報を見てすべてを理解する。ハリウッド版と比べると、かなりユーモアの要素が強くなっている。

■ストーリー
ハワイのオアフ島。ツアーガイドとして働きながら天文学の研究をしているプレイボーイの大輔は、ある日、カフェで瑠衣という明るくて魅力的な地元の女性と出会う。たちまち意気投合するふたりだったが、翌朝会った瑠衣は、大輔のことをまるで覚えていない。瑠衣は、新しい記憶が一晩でリセットされるという事故の後遺症を患っていた。そんな彼女に本気になった大輔は、毎日初対面の彼女をあの手この手で口説き落とす。

ふたりは毎日恋に落ち、毎日ファーストキスをくりかえす。しかし、ふとした事件で瑠衣は自分の記憶のズレに気づき、苦しむことに。そのことすら1日で忘れてしまうのだが、このままでは瑠衣の人生は失われたままだと考えた大輔は、彼女のため、ある新たな試みをしかける・・・!

■感想
ハリウッド版と大まかには同じ作りだ。物語の舞台もリゾート地であり、男はナンパ師で夢を追いかけ続ける。ハリウッド版は10年以上前の作品なので、細かな部分は覚えていない。ただ、朝起きると常に事故直前の状態に記憶が戻るという衝撃が強かった。

本作でも、大輔が瑠衣と出会い恋をしたはいいが、次の日には瑠衣はすべてを忘れている。瑠衣自身が自分の記憶障害を理解していないだけに、周りはどうすることもできない。カフェの店員や常連たちだけが大輔の哀れな姿を眺めるだけだ。

父親や兄が瑠衣の記憶障害に違和感がないよう日々を過ごす。すべては瑠衣が事故直前の状態に戻ったとしても違和感なく過ごせるようにするため。新聞を過去のものにし、テレビのニュースも昔のものにする。今ならば絶対に無理なことだろう。

ある意味情報を遮断された状態の瑠衣だが、周りの苦労を知らず無邪気にその日だけの人生を楽しんでいる。そんな瑠衣たち家族に革命をもたらすのが大輔だ。大輔の行動は当然のことだろう。好きな人がひと晩たつと毎回自分のことを忘れている。一日だけの恋は辛すぎる。

瑠衣が毎朝目を覚ますと、DVDが再生されそれまでの瑠衣の日々と世間の流れが映し出される。瑠衣からすると突然自分が何十年も眠っていたような気分だろう。目が覚めると自分の知らないことだらけとなっている。そして目の前には知らない男が彼氏だと言う。

普通に考えると、どれだけ動画で説明されたとしても、いきなり相手のことを恋人だと認識するのは無理だろう。その究極の形が、ラストで描かれている。目が覚めるとそこには夫と娘がいる。強烈すぎる状況だ。

ハリウッド版と比較しながら見るのも楽しいだろう。



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