「ズルさ」のすすめ 佐藤優


 2016.7.5      青臭い正義感は必要ない 【「ズルさ」のすすめ】

                     
ズルさのすすめ/佐藤優
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■ヒトコト感想
「ズルい」のは悪い言葉としてとらえられがちだが、今の世の中狡猾に生きる必要がある。作者が語るのは悪い「ズルさ」ではなく、良い意味でのズルさが必要だということだ。バカ正直に生きるのも良いが、それはかなり損をする可能性がある。ズルさの中にもさまざまあり、作者の主張することはそれなりに納得できる。ただ特別目新しいことではない。

作者の言葉にいちいち納得するが、目から鱗が落ちるような画期的な言葉ではなく、なんとなく意識していたり考えていたことだ。自分の考えや思いが間違っていないと再認識するには良い。ズルいことはダメだという潔癖の人も読んでみると良いだろう。何かが劇的に変わるわけではないが、頭の中にいれておくと良いかもしれない。

■ストーリー

厳しさを増すこの時代を生き抜くには、実直に頑張るだけでなく、ときには「ズルさ」を発揮することも必要だ──。社会全体が敵になるような大きな困難を乗り越えてきた著者が、「人と比べない」、「嫌われることを恐れない」、「問題から目をそむけない」など、誰でも直面する11のテーマを解き明かしていく。

■感想
作者が提唱するズルさにはいろいろある。印象的なのは、上司にむやみやたらにたてつかないということだ。作者のイメージとしては、自分が納得しないことはとことんまで戦うタイプかと思っていた。それが、嫌な上司やダメな上司に対しても、青臭い正義感で反発するのではなく、上司におべんちゃらを使うくらいで良いと言う。

これは意外だった。ただ、自分の中の処世術として無駄な軋轢は避けるタイプなので、血気盛んな若者のごとく上司に噛みついたりはせず、サラリとやりすごすことにしている。

「問題から目をそむけない」ということも作者は主張している。ごく当たり前のことかもしれないが重要なことだ。ただ、そのあたりを熱く語ったとしても、別の章ではうつ病になるほど悩むならば逃げることも必要だと語る。矛盾しているようだが、何事も加減が必要だということだろう。

うつ病になり会社を休職するくらいなら、休んで逃げる方が最終的には会社の利益にもなる。非常に説得力がある。会社に依存せずに複数の収入源をもつことも重要だと語り、自分のキャリアとして複数の得意分野をもつなど、自己啓発本に書かれているような内容だ。

作者独自の部分としては、酒について作者の実体験を元に書かれている。あらかじめ自分が飲める限界の酒量を知っておくべきとのことだ。ロシアで長く生活した作者だけに、ウォッカか基本なのだろう。相当なアルコール量を飲んでも耐えられる体なのだろう。

驚いたのは、日本人は一回に飲める酒量は少ないが毎日のように晩酌をするなど、飲む回数が他の国に比べて多いらしい。アメリカやイギリスなど、毎日バーに人がたむろしているようなイメージがあったがそうではないようだ。

ごく普通の自己啓発本に書かれている内容に、少し作者のエッセンスが加えられた感じだ。



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