遊園地に行こう! 真保裕一


 2016.11.23      明らかにディズニーランドをイメージしている 【遊園地に行こう!】

                     

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■ヒトコト感想
遊園地で働く人々をテーマとした作品。明らかに東京ディズニーランドを想定した遊園地ファンタジア・パークで巻き起こる出来事が描かれている。顔に傷があるため、着ぐるみを着る職業ならば大丈夫と面接に向かうところから始まる物語。

着ぐるみの中での仕事かと思いきや、インフォメーションセンター勤務を命じられ、パークを知り尽くした魔女に諭される。物語は連作短編集であり、それぞれの主人公がパークで働くダンサーや、清掃係りや電気メンテナンス係りなどとなる。遊園地の暗部というか、バイトの過酷な状況や、正社員になるためのハードルなど、恐らく某夢の国の制度を参考にして描いているのだろう。遊園地の内部の状況がよくわかる物語だ。

■ストーリー
明日も仕事に行くための、勇気と熱狂ここにあります!奇跡の復活をとげた遊園地ファンタシア・パーク。夢を抱けない僕たちの前に、魔女が現れた。

■感想
遊園地ファンタシア・パークを舞台にした作品。明らかにディズニーランドをイメージしている本作。パーク内で顔に傷があるにも関わらずインフォメーションの仕事をする男や、契約ダンサー、そしてメンテナンス担当などが、それぞれの仕事に関連した問題に直面する。

ディズニーランドのバイトは、かなり高倍率で狭き門と聞いている。そのことを逆手にとり安いバイト代でこき使っているイメージがある。本作では、バイトから社員へ昇格する際の困難さや、長い間バイトを続ける苦悩が描かれている。

印象的なのはショウダンサーの短編だ。ダンサーとしての力が認められ主役となるが、それは着ぐるみの中に入って踊ることだった。パーク内のダンサーはあくまでも自分の夢をかなえるための前段階となる。さらなる飛躍をめざし、オーディションに合格すれば、そちらへ異動もありえる。

パークのダンサーはダンサーとしては一流というわけではない。夢に向かう途中の生活の糧としてパークでダンスを踊る。ステップアップする者もいれば、挫折する者もいる。例え契約が残っていたとしても、キャリアアップにつながるのなら、それを破るのもいとわないのだろう。

ラストには、パークの魔女と言われるベテラン社員の出自についてのミステリーが登場してくる。週刊誌記者がパーク内の問題点を暴き出そうとする。タイミング悪く発火騒ぎがあり、スキャンダルへ繋がることを恐れる幹部たち。ディズニーランドの労働環境が悪い点を恐らく参考にしているのだろう。

自分が休む場合は、必ず代わりを探しだしてから休むや、就業前に自主的に掃除をするなど。ブラック企業を地でいく流れだ。このラストのミステリーが必要かというと微妙かもしれない。

パークで仕事をする大多数がバイトで、そのバイトの厳しい状況が伝わってきた。



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