山猫珈琲 上 


 2017.8.1      毒にも薬にもならないエッセイ集 【山猫珈琲 上】

                     
山猫珈琲 上巻 [ 湊かなえ ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
湊かなえの初エッセイ集。作品からはみえてこない作者のプライベートを知ることができるのがエッセイの良い部分だ。新聞に連載されたエッセイのため、非常に無難な印象がある。激しい意見の主張や世間の出来事を面白おかしく揶揄するようなことがない。誰にも影響なく読める無害なエッセイだ。湊かなえに興味がある人は、作者がどんな人物か知られるのは良いだろう。

結婚しており、淡路島に住み、子供は大きいなど作品からは絶対に知りえない情報だ。エッセイ単体としては、無難なもので強い個性はない。万人向けなのだろうが、エッセイとして楽しみで仕方がないというような類の作品ではない。作者のことをどことなく有川浩とカブると感じていたが、エッセイを読んでより強くそう感じた。

■ストーリー
「山」「猫」「珈琲」は著者がとても好きで大切にしているもの。これらに励まされ、また癒され日々の執筆活動に励んでいるという。上巻は、朝日新聞、神戸新聞、日経新聞などに連載されたエッセイを収録。デビューから10年を振り返る、湊かなえの初エッセイ集!

■感想
ミステリー作家としてのイメージは、特別な個性はないのだが人の心理と時間の流れでミステリアスな雰囲気を作るのがうまい作家だと思っていた。そんな湊かなえの初エッセイ集。新聞に連載されたエッセイが収録されている。

新聞のエッセイというとそこまで尖ったエッセイは難しいのだろう。非常に当たり障りのない、毒にも薬にもならないエッセイと感じた。ただ、作者のことをよく知りたいならば、読むべき作品だろう。小説作品から見えてこない、作者の人となりがよくわかるのは間違いない。

既婚者であるとか、淡路島に住んでいるだとか、すでに大きい子供がいるだとか、結構意外なプライベートだと思った。運動神経はあまりよくないが、エッセイ上ではスポーツをする場面がよく登場してくる。そして登山が好きで、山に登るために登山をテーマとした小説「山女日記」を書いたらしい。

主婦友達とBBQをしたり、旦那さんと仲良く食事に行ったり、作家としての一面よりもごく普通の主婦といったような感じを強く受けた。作家というと気難しいイメージがあるのだが、姑ともうまくやっている理想的な主婦のようだ。

デビュー作品から、出す作品が次々と映像化されている売れっ子作家ではあるが、エッセイ上では派手な生活の描写はない。非常に当たり前の日常であり、日々の出来事を描いている。本作品を読んで、前から思っていたことだが、作家の有川浩と似ていると感じた。作風はだいぶ違うが、年齢的にも近いはずだ。確か有川浩のエッセイに湊かなえと会ったとかなんとか…。

尖がったエッセイではないので、そこまで面白いと感じることはない。それでも作者のファンならば、作者のプライベートを覗けるということで、非常に興味深い作品となることだろう。

好きな物をタイトルとしているのが良い。



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