山猫珈琲 下 


 2017.8.9      作家デビュー前の攻防 【山猫珈琲 下】

                     
山猫珈琲 下巻 [ 湊かなえ ]
評価:3
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■ヒトコト感想
湊かなえのエッセイ集。下巻では小説家として成功する以前の部分が印象的だ。脚本のコンテストに応募したり小説を投稿したり。ダラダラと続けるのではなく、期間を限定し、そして結果をだしてしまうすごさは、やはり一般人とは違う何かがあるのだろう。

脚本も入賞しラジオドラマ化され、作家として売れっ子となる。家族に迷惑をかけているという描写や、同じ小説家として有川浩と悩みを共有するなど、小説家としての作者の裏側を知ることができる。日々の執筆の辛さというのは特に描かれておらず、どちらかと言えば、小説家になるまでがメインとなっている。今や売れっ子作家のひとりであはるが、ごく普通の主婦としての生活をしていることにも驚かされる。

■ストーリー
「山」「猫」「珈琲」は著者がとても好きで大切にしているもの。これらに励まされ、また癒され、日々の執筆活動に励んでいるという。下巻は、様々な雑誌に書いたエッセイや、シナリオ公募から小説家デビューまでを綴った連載など。

■感想
運動神経がそれほど良くはないがスポーツは好き。とりわけ登山が好きらしい。山に登りたいがために登山をテーマとした「山女日記」を書いただとか、作者の小説作品の裏側を知ることができるエッセイ集だ。

作家としてデビューする前には、海外青年協力隊で教師をしていたり、結婚してからは主婦業をしながらも、脚本を描いていたりと作者の知られざるプライベートな部分が描かれている。特に、作家としてデビューする元となった脚本の入賞の話は強烈だ。地方に住んでいることが脚本家への道を遠くしているというのはかなり意外だった。

脚本と小説はまったく別物と思っていたが、作者はどちらも才能があるらしい。脚本家として成功とはまではいかないが公募で入賞しラジオドラマ化までされている。小説作品は多くの作品が映像化されているので、世間的には超売れっ子作家なのだろう。

同じように売れっ子作家で同年代の女性として有川浩の話がでてくる。作者は親友と語っている。自分の中のイメージでは、有川浩と湊かなえは雰囲気がかぶるイメージがある。作風は違うが、エッセイを読むとより同じだという印象を強くもった。

主婦の仕事と作家の仕事を両立させているのはすばらしい。エッセイ上では家族に迷惑をかけているという記述もある。普通に考えるとかなりの速いペースで作品を発表しているので、主婦の仕事はしていないのかと思っていたのだが…。

ひたすら部屋にこもりパチパチとキーボードをたたき続けるイメージから、結構アクティブに外にでているというイメージに変わってきた。登山についても、学生時代に登山をしていたからといってすぐにできるものでもない。作者本人の自己分析よりも実は運動能力は高いのではないかと思えてしまう。

作者のファンならば外せないエッセイ集だ。



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