2017.4.15 皆がイメージしやすい妖怪 【嘘実妖怪百物語 急】
評価:3
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■ヒトコト感想
妖怪が目に見える世界の中で、その仕組みが明らかとなる。現実世界に妖怪があふれたら、という想定で描かれている本作。政府がとんでもない対策を打ち出し、それに対抗する妖怪馬鹿たち。妖怪出現の謎が解明されると、こんどはそれを利用して政府と戦おうとする。呼子石を使って妖怪を呼び出せると分かると、今度はマンガの中の妖怪を呼び出してしまう。
「犬夜叉」だとか「うしおととら」だとか、妖怪マンガや、果てはホラー映画界からは貞子まで。もはやなんでもありだ。作中では京極夏彦や水木しげる以外に、綾辻行人や夢枕獏など、実在する作家が登場してくる。いずれも妖怪や陰陽師など関係者たちばかりとなっている。長大なシリーズは、本作でいちおうの決着を迎えることになる。
■ストーリー
妖怪研究施設での大騒動を境に、妖怪はなりを潜めていた。政府は妖怪殲滅を宣言すると、不可解な政策を次々と発表。国民は猜疑心と攻撃性に包まれていき、日本は危機的状況に陥っていった。妖怪関係者は富士山麓に避難するが、荒俣宏や榎木津平太郎は、政府の特殊部隊によって捕縛されてしまう。
果たして平太郎らは、妖怪出現の謎、そして世界が殺伐としてゆく真の要因を突き止めることができるのか。魔人・加藤保憲、妖怪、軍隊、妖怪関係者が入り乱れた“大戦争”が始まる!
■感想
妖怪関係者と政府の大戦争が始まる。政府は軍を動かし妖怪を殲滅しようとする。対する妖怪関係者軍団は、呼子石を使って妖怪を呼び出し軍を翻弄しようとする。呼子石で呼ぶものは現実に存在せず、相手がイメージできるものならなんでも呼び出せるらしい。
そのため、世代間で鬼太郎のイメージが異なり、マンガのキャラクターも見る人によっては見え方が変わってくる。それほど知名度のない妖怪を呼ぶよりも、誰もが知っている恐怖を呼ぶ方が手っ取り早い。ということで呼び出されたのが巨大な貞子というのがなんだか笑いがでてきた。
そもそも妖怪が世に現れるようになった原因が語られている。世の中に余裕がなくなり、馬鹿が許されなくなる状況が根本の原因らしい。すべての元凶を倒した後に…。まぁ、正直このあたりはどうでも良いのかもしれない。
世の中に妖怪があふれるとどうなるのか?だとか、本来は目に見えず何かの現象に対する後付けの理由として妖怪は存在していた。それが目に見えると世間は混乱し、世の中はめちゃくちゃになる。妖怪を許す土壌があれば、妖怪が世にあふれても気にしなくなる?のだろうか…。
恐らくだがうちわネタ的な展開は多数存在しているのだろう。「怪」の編集者関連の話や角川書店の話など、編集者のキャラは実在の編集者に似せてあるのだろう。綾辻行人や夢枕獏が実名で登場し、それなりにウンチクを披露する部分や、マンガのキャラが登場してくるなど、権利関係で問題はないのか不安になるほどだ。
恐らく作者となんらかの繋がりがある者たちばかりだから問題はないのだろう。妖怪が世に溢れるという強烈な出来事のオチとしては、それなりにまとまっており、理論立っているような気がした。
巨大貞子が一番強烈だろう。
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