失われた地図 


 2017.9.20      少年マンガ的な設定だ 【失われた地図】

                     
失われた地図 [ 恩田 陸 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
なんの説明もないまま、遼平と鮎観がなぞの”グンカ”と戦うことになる。読者は小出しにされる情報から物語の舞台を想像するしかない。裂け目と言われる場所から、過去にそこで生きた人々が亡霊のように出てくる。グンカが出るところには災いが降りかかる。それを処理するのが遼平たちの役目だ。

なんとなくアニメやマンガの設定的な香りがする。日本の各地で遼平たちがグンカと戦う。川崎の工場地帯であったり、六本木であったり。グンカがただの亡霊なのか、それとも…。最後までこと細かに説明されることはない。この手の設定が好きな人にはたまらないだろう。特殊な能力を持った者たちが、裂け目を元に戻す仕事に力を注ぐ物語だ。

■ストーリー
川崎、上野、大阪、呉、六本木…日本各地の旧軍都に発生する「裂け目」。かつてそこに生きた人々の記憶が形を成し、現代に蘇える。記憶の化身たちと戦う、“力”を携えた美しき男女、遼平と鮎観。運命の歯車は、同族の彼らが息子を授かったことから狂い始め―。新時代の到来は、闇か、光か。

■感想
かつてそこに生きた人々の記憶がグンカとなる。簡単に言うと亡霊のような存在が、裂け目とよばれる場所から湧き出てくる。グンカは単純な亡霊ではなく知能があるらしく、遼平たちを騙そうとする。グンカを退治し、裂け目を閉じることができる能力を持つ遼平や鮎観。

なんの事前情報もないまま物語はすすんでいき、どうやら二人が離婚していることがわかる。そして、二人の息子の存在も。日本各地でグンカが発生すると、それを退治するために遼平や鮎観がやってくる。その土地独特の雰囲気が伝わってくる。

川崎では巨大工場でグンカと戦い、呉では戦艦ヤマトの亡霊が登場する。設定だけでいうと、アニメや少年マンガ的な雰囲気だ。遼平や鮎観の能力について、とりたてて説明がない。ただ、亡霊を倒す特殊能力があり、能力者同士が結婚すると、その子供は能力者となるが、3人が揃うと子供に異変が生じる。

そのために、遼平と鮎観は別れることになる。物語としてグンカを倒す流れと、遼平と鮎観の離婚した夫婦のちょっとした物語がある。お互い相手のことが好きなのだが、子供のために離れるしかない。辛い状況だ。

グンカの姿を見ることができるのは特殊な力を持った者だけ。一般人は何も見えず感じず生活するが、そこで大きな厄災が起こる。なんとなくだが、特殊能力を持つ人物の物語というと、安易に感じてしまう。

作者はわりとこの手の作品を描くのだが、今回はまったく説明がなく、一話完結のアニメ的な印象が強い。本作を原作としてアニメ化するなんてことは簡単にできるだろう。ただ、流行るかどうかは未知数だ。わりとありきたりな設定であることは間違いない。

空中を飛び回る遼平と鮎観を想像して読みすすめた。



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