超したたか勉強術 佐藤優


 2016.11.17      ハイグレードなサラリーマン向け? 【超したたか勉強術】

                     

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■ヒトコト感想
タイトルだけ見ると、受験テクニックのように時間のない社会人向けに効率的な勉強術を指南してくれるものと思っていた。が、内容は過去の歴史から類推し、現在の問題を解決するという、作者が昔から言っていることをが描かれている。イギリスを歴史から学ぶことをメインとしている。現代の世界情勢が過去のどの出来事と似ているのか。

そして、安倍総理の憲法についての考え方など、佐藤優が分析したことが語られている。あいかわらず内容は高度だ。歴史を例にとる部分は、歴史について興味がないと辛いかもしれない。歴史を体系的に勉強し直すための本も紹介されてはいる。ただ、時間のない社会人は、てっとり早く成果がでる勉強方を求めて本作を手に取るだろう。

■ストーリー
一時の感情に流されない。他者と共存する道を探る。「一強多弱」の21世紀を生き抜く術がここにある!日本を覆う「反知性主義」に対抗していくには自分の頭で「したたか」に考え続けるほかはない。感情論ではなく、どんな立場の人とも議論できる「最強のインテリジェンス思考法」を伝授!

■感想
勉強術というタイトルは付いているが、勉強方法についてはほとんど言及されていない。丸暗記することや、デジタル機器を使わずノートにボールペンで文章を書くことを推奨する程度だ。中身はほぼ現代の出来事を歴史と紐づけて分析しているだけだ。

特にイギリスの歴史が参考になるという理由や例が語られている。佐藤優が世界情勢を分析し、説明している他作品と比べてどこか特徴があるかというと…。とってつけたようにビジネスパーソン向けに考え方のアドバイスがある程度だ。

勉強術というタイトルに惹かれず、純粋に内容だけを読めばまったく問題はない。特に興味深いのは、安倍総理が憲法改正に積極的である理由や、考えることを放棄し知らないから自分が正しいと思いこみで前にすすんでいることの危険性が描かれている。

あくまでも佐藤優の意見なので、これがすべて正しいとは思わないが、興味深い分析であることは間違いない。知識レベルは当然のようにある程度高くなければついていけないことは間違いない。

作品の冒頭に、ビジネスパーソンとして相手とどのように会話を繰り広げていくかの心構えが書かれている。確かにイスラム国や宗教、政治のことを雑談として会話するような場であれば必要かもしれない。自分に関して言えば、そんな場面はほぼないと言えるので、そこまで心構えをする必要がない。

もしかしたら佐藤優が想定しているビジネスパーソンは、グローバルに活躍し、海外の要人とランチミーティングをするような、ハイグレードサラリーマンを想定しているのではないだろうか。

タイトルと内容の乖離に驚いた。



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