東天の獅子 第2巻  


 2017.2.15      武田惣角は別格の強さだ 【東天の獅子 第2巻】

                     
評価:3.5
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■ヒトコト感想
新たな達人が登場し、嘉納流の講道館に対抗する者たちとの戦いの場である「警視庁武術試合」を前に、強者たちの強烈なエピソードが描かれている。九州の久留米と熊本の柔術強者たち。そして、講道館に因縁をもつ千葉の戸塚道場。それらの強者たちの中で、どのような強さの序列があるのか。久留米と熊本の激しい戦いがあり、その中で武田惣角がダントツの強さであることが表現されている。

1巻では嘉納治五郎に勝ち、本作では九州の柔術強者に勝つ。沖縄では空手を学ぶような描写もあり、このシリーズを通して武田惣角だけが別格のような描かれ方をしている。そんな状態ではあるが、講道館と戸塚道場の対決など、物語を盛り上げる要素が満載だ。

■ストーリー
柔術王国たる九州では、古流柔術の猛者たちが激突し、全国一の規模を誇る関東の揚心流戸塚派は、新興の講道館に激しく対抗心を燃やす。新しい時代、この国で覇をとなえるのは誰なのか?運命の「警視庁武術試合」を前に、闘いはいよいよ激しさを増す。

■感想
また新たな強者たちが登場してくる。九州の久留米で柔術を学ぶ者たちと熊本で柔術を学ぶ者たち。それらがどちらが上かの対決をする。そこでの戦いは衝撃的なものだ。このシリーズ全般に言えることだが、流派の威信をかけての対決では、決して「まいった」とは言わない。

そのため腕を折られるまでになる。そんな激しい戦いを傍観するひとりの男がいた。武田惣角は久留米の柔術強者と戦い、沖縄の空手を用いてあっさりと打ち倒してしまう。武田惣角だけは別格の強さとして描かれており、合気道の奥義まで学んでいるという、最強クラスの描かれ方をしている。

「警視庁武術試合」に向けて出場する強者たちのエピソードが描かれている。久留米の強者と熊本の強者。そして、講道館と因縁のある千葉の戸塚道場。ここで、それぞれの強者には独特のエピソードがあり、この強者たちと講道館の者たちがどのように戦うのかが楽しみで仕方がない。

勝海舟の取りはからいにより、講道館と戸塚道場が戦うことになる。因縁のある相手との戦い。講道館は投げ主体の柔道で、戸塚道場は柔術として寝技が主体となる。その後の発展から講道館が勝つのが予想できるのだが、どうなるのかわからない。

講道館の投げが強いというイメージはない。戦いにおいては武田惣角の空手や柔術の寝技の方が強いような気もするが…。作中では固い地面に頭から投げられれば即死することから、投げの有効性が語られている。当身や寝技よりも投げ。

現代のスポーツ柔道の元となった講道館の柔道。恐らく第3巻ではその圧倒的な強さを見せつけ、警視庁のお抱え武術となるのだろう。文武両道の嘉納治五郎が起こした嘉納流が発展していく様が、とてつもなく魅力的に描かれている。

早く第3巻を読みたい。



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