知の教室 


 2017.11.23      佐藤優の集大成 【知の教室】

                     
知の教室 教養は最強の武器である[ 佐藤 優 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
作者の得意分野の集大成というべきだろうか。作者の作品を今まで読んだことがない人で、これから読もうと考えている人は、とりあえず本作を一冊読むと良いだろう。ロシア情勢や宗教、神学についてや鈴木宗男バッシングについてなど、大部分が網羅されている。

作者の膨大な作品をひとつずつ読んでいくのはしんどくても、本作一冊読めば作者がどのような人物かだいたいわかるだろう。さらには最近の日本のインテリジェンスの状況だとかロシアとの関係。北方領土問題や教養を付ける方法など、さまざまな有識者との対談もあり盛りだくさんの内容だ。ただ、作者の作品をよく読む人にとってはどこかで読んだ内容ばかりかもしれない。

■ストーリー
社会で生き抜くために最も有効な武器である「教養」とは何か。特捜事件での逮捕・勾留・裁判を耐え抜き、今や言論界でひっぱりだこの著者が学生やビジネスパーソンのため惜しげもなく伝授する!作家デビューから10年間の論考から厳選した本書で、佐藤優の超実戦的思考法の全てがわかる。完全保存版のインテリジェンス10講座。

■感想
佐藤優の集大成というべき作品だろう。教養を付けるために作者が10の講座として用意しているのは、今までの作者の作品の中から重要なものをピックアップした感じだろうか。国策捜査により逮捕され拘置所で検察とやりとりしたこと。同じく逮捕を経験したホリエモンとの対談は面白い。

拘留中に何を考えて過ごしたのか。常人では耐えきれないような孤独な状況から抜け出せた秘訣。そして、文筆家としてどのような仕事の仕方をしているのかなど、教養というよりは、まさに作者の今までの文章から重要なものを引っ張り出したような感じだ。

近年のロシアの状況も描かれている。作者がロシアの専門家として外務省にいたころの流れそのままにロシア情勢を分析している。北方領土はどうすれば日本に返ってくるのか。このあたりは作者の作品で繰り返し語られてきたことだ。

改めて思うのは、ものすごく過去のちょっとした言動を大事にし、相手のちょっとした行動からシグナルを読み取るという、ものすごく神経を使う仕事だということだ。今の外務省に佐藤優のようなロシア専門家は存在するのだろうかと心配になるほどだ。

様々な有識者と対談もしている。中国の専門家や池上彰やホリエモンや、はては漫画家の伊藤潤二まで。どうやら作者の作品が伊藤潤二の作画により漫画化されたらしい。一日4時間睡眠で毎月1200枚の原稿用紙分の文章を書く。

そして大量の読書をする。それでいて自分の人生の残り時間を計算し、やる仕事を選んでいるらしい。猫好きで仕事場をいくつかもち、濃密な人生を送っている作者。作者の作品を初めて読むならば、本作が良いかもしれない。

一度本作を読んでNGであれば、他の作品は読まない方が良いだろう。



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