2015.6.4      警察をも支配する巨大組織 【天使の牙 上】
      
                                 
            
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            ■ヒトコト感想
            新型麻薬の元締「クライン」を壊滅させるため、仁王と呼ばれる刑事と女刑事アスカが奔走する。巨大な権力を手に入れた麻薬組織の魔の手は警察内部にまで入り込む。クラインの息がかかった者たちにより、警察組織は疑心暗鬼となる。上巻ではクラインのボスである君国の愛人はつみを保護することから始まる。アスカがはつみ保護に向かうのだが…。
            
            恐ろしいのは警察上層部にもクラインと繋がる者がおり、どこにも安全と思われる場所がないということだ。アスカとはつみが銃撃され、アスカは死に、はつみの体だけが残った。はつみの体にアスカの脳が移植され、下巻へと続く。アスカが死んだことにより、自暴自棄となった仁王。クラインとの激しい戦いが繰り広げられる。
            ■ストーリー
            覚醒剤に替わり、日本全土を脅かす新型麻薬アフター・バーナー。その元締「クライン」を牛耳る独裁者・君国辰郎の愛人神崎はつみが逃亡した。はつみは組織内部のことを知りつくしていた。そのはつみが警察に保護を求めてきたのだ。
            
            連絡を受けた保安二課長・芦田は、「クライン」壊滅の切り札として護衛・移送することを決める。この極秘指令を受けた男まさりの女刑事明日香は、はつみとホテルで接触するが、ヘリからの銃撃を受け二人は瀕死の重体に。だが、奇跡は起こったー!!
            ■感想
            麻薬組織のクラインはその資金力で警察上層部にまで手を広げる。クラインに転んでいない、正義感あふれる刑事たちはわずかしかいない。そんな中でもクライン撲滅のために必死になるチームがある。仁王とアスカのコンビがクライン壊滅のために動き出す。
            
            クラインのボスである君国の愛人はつみを保護するため動き出すアスカ。アスカがはつみに接触した瞬間に、クラインから襲撃を受ける。警察内部の裏切りによりアスカの行動が筒抜けとなっており、二人は激しい銃撃にさらされる。
            植物状態となったはつみと、肉体的に死亡状態だが脳は生きているアスカ。そこではつみの体にアスカの脳を移植する案が浮上する。奇想天外な状況であることは間違いない。体は君国の愛人で、心はアスカという状態で、はつみはどのようにして警視庁に戻ることができるのか。
            
            特殊な状況で、仁王がいない中、クラインとどのように渡り合うのか。はつみを手に入れようとする君国。はつみを守ろうとする警視庁の精鋭部隊。クラインとの繋がりがない精鋭部隊だが、疑心暗鬼の状態が晴れることはない。
            やはり恐ろしいのは、クラインの手がどこまで伸びているかということだ。はつみを護衛する刑事たちが、何者かの策略により始末される。君国の右腕である殺し屋・神が恐ろしい。停職中の仁王がはつみを助けるのか、それともアスカの仇としてはつみを始末しようとするのか。
            
            誰がはつみの敵で誰がはつみの味方かわからない状態が、面白さを増幅させている。さらには、精神的にボロボロの状態の仁王がどのような働きをするのか。はつみの中身がアスカというのを、どのように周りに知らしめるのか。下巻への興味は尽きることはない。
            結末が気になる作品だ。
            
            
            
            
          
              
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