2016.7.7 作品のイメージどおりの作者 【倒れるときは前のめり】
倒れるときは前のめり [ 有川浩 ]
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■ヒトコト感想
作者の初エッセイ集。デビュー当時のエッセイや初期の作品に対する思いや、本や映画のレビュー、そして高知に関するものまで多種多様なエッセイが収録されている。作品が映像化されることについての思いや、それを見た感想まで。作者の人となりや、主張がよくわかる作品だ。特に印象的なのは、ライトノベル作家としてデビューしたことや、そこから自衛隊や聴覚障碍者についての作品を描くなど、普通ではないものをテーマとした理由まで。
作者のファンにはたまらないエッセイ集だろう。好きな小説や映画作品については、残念ながら自分と趣味があわないのでほとんど共感できなかった。作品から感じるイメージそのままに、割と真の強い作家なのだと思った。
■ストーリー
『図書館戦争』『レインツリーの国』『植物図鑑』ほか映像化続々の人気作家・初のエッセイ集! 日々の生きるつれづれ、創作の裏側、大好きな本や映画、敬愛する人びと、ふるさと高知のことなど、デビュー書籍刊行前から現在までに綴った90本超に、それぞれ振り返りのコメントを書き下ろし。
■感想
「塩の街」でデビューした作者。ライトノベルが好きで、ライトノベル作家としてデビューし、今や一般書でも頻繁に映像化されるほどの売れっ子作家となっている。そんな作者がいつから小説を書き始めたのか、そしてデビューしたきっかけは…。
作者の知られざる一面が見え、さらには自衛隊を題材として扱うことや、聴覚障碍者をテーマとした作品などを選んだ理由も語られている。自衛隊をテーマにしつつ、さらには体がかゆくなるようなラブストーリーを作る。なかなかできることではない。
作者が好きな小説や映画についても語られている。正直、自分と趣味が合うかというと合わない。意外な作品が好きなのだなぁ、という印象だ。どことなく濃いオタクな香りも感じてしまう。高知出身であり、観光についての作品を描いていることから、高知についてのエッセイもある。
そして、阪神大震災を経験し、東日本大震災ではどんな思いでいたのか。さらには作家の湊かなえとも仲が良いというのも知らなかった。作者の知られざる一面を見ることができる貴重なエッセイ集だ。
作者の作品の登場人物は、割と理屈っぽく頭の中で理屈をこねまわしそれを強く主張している。特に女性キャラに関しては、強さのようなものを感じてしまう。そんな登場人物の印象がそのまま作者にもあてはまるような気がした。気に入らないことには断固として戦い、流されることがない。
主張すべき部分は強く主張する女性のように思えた。割と作品のイメージそのままという印象だ。小説と作家のイメージが大きく異なる作家もいるが、作者の場合はそうではない。そのため、作者のファンが本作を読んでも大きな驚きはないだろう。
作者のファンならば外せない作品だ。
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