シャイニング 下 スティーブン・キング


 2016.6.1      絶望的状況と圧倒的恐怖 【シャイニング 下】

                     
シャイニング 下/スティーヴン・キング/著 深町真理子/訳【文庫 文藝春秋】

■ヒトコト感想
ジワジワとした恐怖がおしよせてきた上巻。冬場のホテルを管理するジャックの家族には何かしらの問題があることはわかり、ホテルに悪霊がとりついていることが判明した。そこから、ジャックが悪霊にとりつかれ、家族を殺そうとする。強烈なのはジャックがとりつかれて異常な状況になるまでの描写と、木槌を振り回して家族を殺そうとする描写だ。

特にジャックがウェンディに迫る場面は鳥肌が立ってくる。ジャックに追いかけられる恐怖は、どんなホラー映画よりも恐ろしい場面が頭の中に構築された。ハローランがダニーを助けに向かう道中での困難が、事態の絶望感に拍車をかける。人が狂っていく様を段階をふんで描かれるのは強烈だ。

■ストーリー

風光明媚なリゾート・ホテルの冬場の管理人にやとわれた夫妻と五歳の坊や。雪に閉され、人気ないホテルの空室にひそむ悪霊がじわりじわりと忍び寄って牙をむく。

■感想
恐怖の幽霊ホテルでのクライマックスはすさまじい惨劇となる。何かがいると感じていたジャックと家族たち。特にダニーは上巻の段階で奇妙な状況に気付く。そこから、ジャックが悪霊に取りつかれたことで、禁酒を破り酒を飲んでしまう。そして、家族を殺そうと動き出す。

雪深い山の中のリゾートホテルのため、助けを呼ぼうとしてもすぐには呼べない。頼みの綱のスノーモービルを見つけたとしても、悪霊にそそのかされたジャックはバッテリーを捨ててしまう。このあたりのジャックの心の葛藤はすさまじい。

ダニーの心の叫びを聞いたハローランはダニーを助けに向かうのだが…。ここでのハローランの道中でも様々な困難がまちうける。早くハローランに助けに来てもらいたいと思いながら、ちょっとしたタイミングの悪さで向かうことができない。

ハローランが直面する困難もかなり強烈だ。雪深い山のホテルへと向かうこのと困難さ。そして、幽霊ホテルの周りには門番のように、ライオンが…。ハローランが余計な力をもっていただけに、ホテルから拒否されることになり、最終的にはジャックに襲われることになる。

ウェンディとジャックの戦いが衝撃的だ。木槌でウェンディに襲いかかるジャック。ウェンディがジャックの背中にナイフを深く突きたてたとしても、悪霊にとりつかれたジャックは攻撃を止めない。ハローランは到着早々にジャックの魔の手にかかる。

ウェンディ目線で語られる、襲い掛かかってくるジャックの恐怖というのはすさまじい。木槌をふりかざす異常者は強烈なインパクトがある。体がボロボロになり、満身創痍のウェンディは、どんな状況になろうともダニーを守ることを決してあきらめない。これこそ母親の執念だ。

襲い掛かるジャックはすさまじく恐ろしい。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp