2016.5.22 癇癪を起こすと何をするかわからない男 【シャイニング 上】
シャイニング(上)新装版 [ スティーヴン・キング ]
■ヒトコト感想
リゾートホテルの管理人として雇われたジャック。妻のウェンディ、息子のダニー。三人はホテルの管理人としてごく普通に生活するはずだったのだが…。まずジャックがアル中を克服した人物ではあるが、突如として切れてダニーの手を折ったことがあった。
ダニーは特殊な能力があり、無くした物のありかを見つけたり、誰も知らない秘密を知り、ダニーにしか見えないトニーという人物と話ができる。まずジャックの周辺、特にホテルのオーナーやその他の人物たちとの関係が濃密に描かれており、何を起こすかわからないジャックの不安定さも描かれている。ジャックのしいたげられた思いや不安が随所に現れ、それがどのような結末へと繋がるのか…。
■ストーリー
風光明媚なリゾート・ホテルの冬場の管理人にやとわれた夫妻と五歳の坊や。雪に閉ざされた、人気ないホテルの空室にひそむ悪霊がじわりじわりと忍び寄って牙をむく。
■感想
冬場のみの管理人としてやってきたジャックとその家族。ごく普通の家族のようだが、ジャックには屈折した思いが溜め込まれているように思えてしまう。気分よく相手に対して対応したかと思うと、心の中では雇い主であるオーナーに対して悪態をつく。
そして、ホテルの地下室で見つけたホテルの過去の資料を暴露するとオーナーを脅したりもする。知り合いの伝手でようやく手に入れた職のはずが、些細なことでダメにしようとする。ジャックの不安定さが上巻では強烈に描かれている。
5歳児のダニーは俗にいう第六感をもっている。そして、トニーという存在しない人物と会話ができる。ウェンディが無くした物をダニーが見つけ出したり、誰も聞いていないはずのジャックとオーナーの電話の内容をダニーが知っていたり。
超能力的なものを持つダニーは、精神に不安定なジャックやウェンディを愛している。ダニーが見る描写が非常に恐ろし。何か意味ありげに思えるが、何を暗示しているのかわからない。そして、ホテルの一室で、この世に存在しないはずのモノを見ることに…。
上巻ではジャックとダニーの特殊さと共に、ウェンディ目線でも描かれている。ウェンディの中ではジャックが過去にダニーの腕を折ったことを常に心のどこかに残している。リゾートホテルの管理人という立場は非常に恵まれているはずが、どこか心に不安を感じている。
人里離れた場所というのが、いざという時に誰にも助けを求められないことがネックのようだ。ウェンディの心のどこかでジャックの癇癪を恐れ、ダニーと共にどこかへ逃げ出すことを考えているのだろうか。
上巻では、ジャック家族の複雑な心境がメインに描かれている。
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