創価学会と平和主義 佐藤優


 2016.7.29      うさん臭さが消えた 【創価学会と平和主義】

                     
創価学会と平和主義 [ 佐藤優 ]
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■ヒトコト感想
創価学会というとすぐさま「うさんくさい」イメージをもってしまう。宗教にはまっている人は、どこか危ないイメージがあり、特殊な人と勝手に思っていた。創価学会ともなると、信者の数が膨大で、身近に信者がいてもおかしくない。そんな状況でありながら、創価学会のことをよく知らず、あやしいものとして避けてきた

本作ではキリスト教徒の作者が創価学会のことを勉強し、わかりやすく語っている。創価学会に金をもらっているのか?と一瞬想像したが、そうではないらしい。純粋に平和を求めているのが創価学会らしい。ただ、池田大作というカリスマ性のある人物が死んだ後どうなるのか。それは誰にもわからないことだろう。

■ストーリー

公明党が賛成した集団的自衛権。しかしそれは“名ばかり”のものにすぎない。閣議決定を骨抜きにしたのは、創価学会の平和主義だった。「公明党」「創価学会」と聞いた瞬間、思考停止してしまう人が多いが、目を凝らしてよく見てみよう。はたして、その「平和主義」は本物か?組織の論理と「池田大作」の思想に、知の怪物が迫る。

■感想
創価学会の信者は子供のころに近所にいたのを覚えている。大人になり、あまり他人のプライベートを気にしなくなると、とたんに姿を見ないような気がするが、イベントごとがあると創価学会の建物に多くの人が入っていくのをよく見る。

とんでもない数の信者がいるのだと想像できる。そして、信者もそのことを全面に出すことなく、普通に生活しているのを考えると、特別大きなしばりがあるような宗教ではないのだろうと想像がつく。普段の生活の一部として入りこみやすい宗教なのだろう。

作者は創価学会の成り立ちから現代にいたるまでを勉強し語っている。カリスマ性のある池田大作の存在が今の創価学会を作り上げているとも語っている。どうしても宗教団体というとカルト教団を想像してしまう。本作の記述の中には、それを連想させるようなことはない。

海外にまで進出し、多数の信者を抱えてはいるが、権力を求めているようには思えない。公明党の存在が政教分離に反するのでは?という記述や、集団的自衛権に賛成したことについても細かく分析されている。

本作を読むことで、創価学会に対するうさん臭さはなくなった。目の前に信者だと言う人がいたとしても、先入観なしに付き合えるだろう。ただ、本作を読んだから信者になるかというと、そうではない。特に創価学会に対する魅力が語られているわけではないからだ。

恐らく作者もそのあたりに気を付けたのだろう。べたぼめするわけではなく、事実を事実として語る。巨大宗教団体というただそれだけで、人によっては嫌悪感をいだくかもしれないが、本作を読めばそれはなくなるだろう。

創価学会のすべてが語られているわけではないが、なんとなくサワリは理解できた気がした。



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