下町ロケット2 ガウディ計画 池井戸潤


 2016.10.30      ドラマの配役でキャラクターを想像 【下町ロケット2 ガウディ計画】

                     

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■ヒトコト感想
ドラマを見ていたので、内容はだいたい頭に入っていた。前作ではロケットエンジンのバルブという非常に壮大なイメージがあった。本作は逆に極小ではあるが、人体に入り人の命に関連するということで、別の意味での緊迫感がある。今回はNASA出身のライバル社長がすべての鍵を握っている。佃の部下たちが心血を注いで試作品を作る。

そして、製品化には様々なハードルがある。政治的な駆け引きや、大人の事情による様々なやりとりなど、製品の質とは関係ない部分でのやりとりが多い。ただ、エンジンのバルブシステムとは違い、人の体の、それも心臓の弁に使う機器となると、かなり神経を使うことになる。ラストの展開は期待通りの勧善懲悪だ

■ストーリー
ロケットエンジンのバルブシステムの開発により、倒産の危機を切り抜けてから数年――。大田区の町工場・佃製作所は、またしてもピンチに陥っていた。量産を約束したはずの取引は試作品段階で打ち切られ、ロケットエンジンの開発では、NASA出身の社長が率いるライバル企業とのコンペの話が持ち上がる。

そんな時、社長・佃航平の元にかつての部下から、ある医療機器の開発依頼が持ち込まれた。「ガウディ」と呼ばれるその医療機器が完成すれば、多くの心臓病患者を救うことができるという。しかし、実用化まで長い時間と多大なコストを要する医療機器の開発は、中小企業である佃製作所にとってあまりにもリスクが大きい。苦悩の末に佃が出した決断は・・・・・・。

■感想
佃製作所が次に対応するのが医療機器だ。前作ではロケットのエンジンバルブ開発について描かれており、さまざまな困難を乗り越える様が爽快だった。本作でも、相変わらず佃たちを邪魔する勢力は存在する。ロケットエンジンバルブの事業を横取りされ、医療機器についても邪魔される。すべてはNASA出身のライバル企業が台頭してきたせいだ。

このNASA帰りの椎名がポイントとなる。政治的駆け引きに長けており、取引先から気に入られるような行動をとる。佃とは正反対なタイプなだけに、物語として椎名が登りつめ、佃が落ちていく様が序盤にこれでもかと描かれている。

印象的なのは、医療用機器を製作する際の品質についてだ。体の中、それも心臓の弁に代わるような機器を作る。製品に不具合が生じた場合、人の命に影響を及ぼす。とんでもなく神経を使う仕事であり、成功させなければならないという強いプレッシャーが伝わってきた。

椎名率いるサヤマ製作所と佃製作所の戦い。製品としては佃製の方が優れているとしても、ほんの少しの差であれば、サヤマ製を選んでしまう大手企業たち。医療機器に関しても、承認を受けるために政治的な力がないと前にすすめないというのもよくわかる。

作者の作品にはつきものの、爽快なラストは健在だ。今まで散々佃の邪魔をしてきた椎名は、あるスキャンダルから失脚する。それをきっかけとして佃製作所は盛り返していく。佃の社員たちの仕事に対するプライドというか、良いモノを作ろうという強烈な熱量を感じる作品だ。

本来なら経営者であるはずの佃も、いつの間にかいち製品の成功にのめり込んでいる。町工場のレベルを超えた技術を持つ製作所なだけに、すさまじい製品に対するプライドというのを感じてしまった。

ついついキャラクターをドラマの配役で想像してしまった。



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