先生と私 


 2017.6.28      実はガリ勉だった佐藤優 【先生と私】

                     
先生と私 [ 佐藤優 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
佐藤優の幼少時代から高校入学までが描かれた作品。まず驚いたのは、佐藤優は中学時代に相当勉強していたということだ。夜中の2時、3時まで勉強し続け浦和高校に合格する。そこに至るまでに、塾を変えながら勉強中心の生活を送っていたらしい。自分の中学生時代と比べてあまりに勉強中心なため衝撃的だ。

世間の進学校にすすむような中学生は、みな佐藤優のような生活を送っているのだろうか。両親が教育に熱心な家庭に生まれたことと、両親が哲学や宗教について、きちんと息子に話をしたことが作者に大きな影響を与えているようだ。本人の素養もあるが、やはり環境の要因は大きいと感じた。中学生から哲学書を読み漁るなんて、信じられない思いで読みすすめた。

■ストーリー
モーパッサンの「首かざり」を教えてくれた国語の先生。『資本論』の旧訳をくれた副塾長。自分の頭で考えるよう導いてくれた数学の師。―異能の元外交官にして、作家・神学者である“知の巨人”はどのような両親のもとに生まれ、どんな少年時代を送り、それがその後の人生にどう影響したのか。思想と行動の原点を描く自伝ノンフィクション。

■感想
中学時代の佐藤優は、その時点から今と変わらない佐藤優が完成されている。中学生が哲学に目覚め、宗教や学生運動に興味をもつ。なんだか自分の中学時代と比較すると、あまりに考え方が大人びているので驚いた。周りの影響も多少あるのだろうが、そもそもの素質があったのだろう。

本作を読む前のイメージとしては、勉強はサラリと済ませて受験をのりこえるタイプかと思っていた。受験勉強に必死になるのはバカというスタンスかと思っていた。それが、かなりガリ勉風だということに驚いた。

中学生の時点で受験のために毎日夜中の2時3時まで勉強する。塾に通い続け進学校に合格するために必死になる。とりわけ、作者は塾の先生の教え方というか思想や考え方が好きだからと、塾を変わったりまでする。塾の先生が異動すればそれを追いかける。

まさに塾の教師の追っかけのような感じだ。塾の方針により勉強の熱量も変わる。なんだかひと昔前の受験戦争そのままの状況が本作から垣間見ることができる。進学校にすすむような生徒は良い塾に入るために必死になる。塾側としても実績を作るために有望な生徒を抱えたい。すさまじい状況だ。

中学3年で北海道にひとりで旅行する。中3はこんなに大人だったのだろうか??佐藤優の少年時代は、想定していたよりもはるかに大人だ。今の佐藤優の原点がこの中学時代にあるのだろう。だからこそ、作品として成り立つのかもしれない。

自分が中学の時と比較すると、自分は絶対に哲学だとか宗教に興味をもつことはなかっただろう。さらには、受験勉強を必死にやるというのもなかった。ましてひとりで北海道旅行に行きたいとも思わないだろう。その後ソ連と東欧にひとりで旅行する作者のことを考えると、すでに素地が違ったということだ。

少年時代から少し変わった部分があったのは確かだ。



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