世界インテリジェンス事件史 


 2017.12.15      インテリジェンス能力が高かった日本 【世界インテリジェンス事件史】

                     
世界インテリジェンス事件史 [ 佐藤優 ]
評価:3.5
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■ヒトコト感想
世界のインテリジェンス組織について語った本作。CIAやKGB、イスラエルのモサドまで、作者の分析が語られている。CIAは盗聴や衛星での監視能力は世界一だが、根本のインテリジェンス能力は低いらしい。アメリカはインテリジェンス能力が低くても圧倒的な軍事力があるため問題ない。逆にイスラエルは周りを敵に囲まれているため、インテリジェンス能力が高くないと途端に国に危機が訪れるらしい。

意外なことに戦前の日本は相当インテリジェンス能力が高かったらしい。インテリジェンス能力が高いとはどういったことなのか。普段考えもしない事件や出来事の裏には高度なインテリジェンスの戦いがあるということにも驚かされた。

■ストーリー
かつてインテリジェンス大国だった日本は、なぜ凋落したのか――。元外務省主任分析官が、CIA、KGB、モサドなど各国の機関を解説するとともに、スパイが暗躍した歴史的事件を分析。覇権国アメリカの衰退、中国の台頭、イスラム原理主義、北朝鮮問題など、弱肉強食の〝新・帝国主義時代〟に入った世界情勢を、インテリジェンスの視点から読み解く。

■感想
佐藤優が各国のインテリジェンス機関について分析している。過去の事件や出来事を例にだし分析する。最初にCIAはインテリジェンス能力が高くない、という衝撃な言葉から始まる。盗聴や衛星を使った撮影など、情報を収集する能力は世界一だが、それを活用することができていないらしい。

CIAのインテリジェンス能力が低いとしても、圧倒的な軍事力により抑え込んでしまうらしい。イラクの大量破壊兵器保持についての戦争も、アメリカは誤解をしイラクに攻撃したが、それらがなかったことになったのが良い例らしい。

その他、KGBやイスラエルのモサド、さらには中国や北朝鮮まで、それぞれのインテリジェンス機関について分析されている。北朝鮮のインテリジェンス能力が高かったり、日本については今はダメだが、戦前は高いインテリジェンス能力をもっていたというのは意外だった。

日本の過去のインテリジェンスの教科書の中の記述を例にだし、どのようなことが重要かと語る。現在では経済力=国力となるらしい。ということは日本は大国ということになる。大国の割にインテリジェンス能力は低いということだろう。

インテリジェンスというのはスパイ行為だけでなく、公に情報として公開されているところから読み取る必要があるらしい。このあたり非常に驚いた。新聞やニュースなどから相手の国のメッセージを読み取る。この手の考え方というのは普通の人では絶対にしないことだ。

ロシアと日本の関係において、ロシア側が国営放送を通してメッセージを送ってくる。それを適切に受け取り対応するのはそれなりにインテリジェンス能力が高くないとできないことなのだろう。

インテリジェンス機関が非常に重要だということがよくわかった。



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