2016.5.11 沖縄は独立すべき? 【佐藤優の沖縄評論】
佐藤優の沖縄評論 [ 佐藤優 ]
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■ヒトコト感想
作者が沖縄について語る。作者の母親が沖縄出身ということで、作者自身も沖縄には並々ならぬ思い入れがあるらしい。ただ、沖縄に住んだこともなければ、沖縄弁が話せるわけでもない。米軍基地問題がホットな時期の作品だけに、そのあたりについて作者なりの強い思いが語られている。作中で本土の人間は知らず知らずのうちに沖縄差別をしている、という記述がある。
その理由を読むと、まさに自分に当てはまることだった。沖縄の人々は米軍基地のおかげで商業的に恩恵を受けているのでは?なんていう考え方や、基地に反対している人と歓迎している人は半々なのでは?なんていう思いをもっていた。作者の作品を読むと、米軍基地に対しては反対するのが沖縄県民の総意のように思えてしまう。
■ストーリー
著者はモスクワで民族問題を担当した時、外交官の枠を踏み越えてバルト諸国の独立派を支援した。ナチスドイツとソ連の双方によって歴史の嵐にもまれた運命が沖縄と二重写しになったからだ。北方領土交渉に命がけで取り組んだのも同じ思いからで、その時著者の心象風景に浮かんだのは、沖縄復帰を心から望んでいた母、伯父、沖縄の親戚の顔だった。
■感想
作者が沖縄について語る。特に米軍基地移設に対しての本土の人々の反応について厳しい言葉を投げかけている。興味深いのは、沖縄が独立した方が良いか?というアンケートだ。まず、独立という言葉がでてくること自体、普通に本土で生活している人たちとは感覚が違うのだろう。
日本から独立するという意識が仮に少しでもあるとしたら、それはすごいことだ。自分に置きかえて考えると、自分の地元の県が日本から独立すべき、なんてことは思うはずがない。そのあたり、独特の感覚があるということだ。
沖縄に基地を移設することに対して、本土の人々は知らず知らずのうちに沖縄を差別していたのだろう。基地により経済的な恩恵を受けており、基地移設については賛成と反対は半々くらいかと思っていた。が、作者の論調では、沖縄県民全員が反対している、というようにすら読み取れる。
いかに基地を移設させないかを常に語っているような感じだ。報道ではそれなりに反対派の意見がクローズアップされてはいるが、原発と同じように賛成する勢力は絶対にかなりの数がいると想像していた。
作者の沖縄に対する強烈な思いを感じることができる作品だ。数々の外国語を話す作者は、次に勉強するのは沖縄語らしい。言葉が言語か方言かの違いは何かというと、自前で軍隊を持つか持たないからしい。これは、かなり強烈な言葉だ。
もし、大阪が軍隊を持ったとしたら大阪弁は方言ではなく、言語になるということだ。本作のすごいところは、沖縄担当の官僚を名指しでべた褒めしたかと思うと、次の回では思いっきりこき下ろしているということだ。ここまでの変わり身はなかなかないだろう。
作者の沖縄に対する熱い思いを感じることができる作品だ。
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