2017.12.7 作者のいつものプライベートだ 【竜宮城と七夕さま】
竜宮城と七夕さま [ 浅田 次郎 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
浅田次郎のエッセイは面白い。何冊もエッセイ集を出しているだけにエッセイの面白ポイントがはっきりしている。自虐的な部分で笑わすのは定番として、本作では中国旅行の話や私生活の話についても言及されている。ただ、だんだんと新鮮味がなくなっているのは確かかもしれない。ある程度安定した面白さはあるが、その先に大きな変化はない。
ハゲでデブでギャンブル好き。その派生系のエッセイと、中国が大好きだというのがよくわかる。執筆や講演など膨大な仕事を抱えており、それを自虐的に語るがどこか明るさがある。すべてにおいて前向きな明るさに溢れているので、楽しい気分で読むことができるのだろう。
■ストーリー
JAL機内誌『スカイワード』人気連載を単行本化した第四弾。海外、国内外での抱腹絶倒の出来事から身辺に起こる様々な出来事を描く傑作エッセイ集。中国でいにしえの英雄の栄枯盛衰に思いを馳せる『皇帝たちの温泉』、同窓会での懐かしさともどかしさを描く『誰だっけ。』、おとぎ話の主人公たちの私生活を想像する表題作の『竜宮城と七夕さま』ほか全40篇。
■感想
本シリーズのエッセイ集は第四弾となり、それ以外にも多数のエッセイを執筆している作者。さすがにエッセイはツボが抑えられている。自虐的な部分で笑わせるのは定番だ。ギャンブル好きでベガスに頻繁に訪れており、馬主となり競馬にも心血を注ぐ。
忙しさの合間をぬって競馬場へ行き全レースを予想して賭ける。そこまで好きなのか?と驚かずにはいられない。実の娘にギャンブル依存症だと言われるのも納得だ。ギャンブルに命を賭ける勢いがある。
JALの機内誌なので、必然的に旅行関係のエッセイが多くなる。驚愕なのは、月産原稿用紙200枚の執筆を続けながら、仕事もあるのだろうが海外旅行へ頻繁に行っているということだ。取材と称して中国へ。講演だとかシンポジウムだとかでヨーロッパへ。
異国の地でのトラブルはやはり面白い。海外旅行慣れしている作者はもしかしたら英語がペラペラなのかもしれない。英語が通じないことを嘆く描写があるということは、そういうことなのだろう。
作者のエッセイを読み慣れている人は、もしかしたらマンネリに感じるかもしれない。いつもの浅田次郎節と言えばそうだが…。
エッセイは普段の小説作品からは知りえない、作者の知られざる部分を読めることが楽しいのだが、すでに作者は今までのエッセイでプライベートをさらしすぎなため、新鮮味がなくなっているのだろう。時事ネタを扱ったり、作者のプライベートの状況が変わったりすると、それはそれで面白い。
作者のファンならば読んで外れはないだろう。
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