2017.9.14 うまそうな映像目白押し 【リトル・フォレスト 秋】
リトル・フォレスト 夏・秋 【DVD】
評価:3
■ヒトコト感想
夏編から秋へと変わっていく。当然ながら夏の暑さは弱まり、秋ならでわの食材が登場してくる。栗やクルミに始まり、米は実り、サツマイモなどの芋類が豊富になる。本作で最も衝撃的なのは、田んぼの害虫駆除のためにカルガモを使うのだが、その鴨を絞めて食べるという部分だ。
ついさっきまで田んぼをスイスイと移動していた鴨を捕まえ、殺して羽をむしり取る。羽を残さないために火であぶる。その後には、解体作業が始まる。内臓を取り除き、肉にする。鶏肉とは違い身が赤紫をしている。このあたりがなんだか普通の鶏肉とは異なる、ちょっとグロテスクな印象を与えている。ラストでは冬の足音が聞こえるような映像で締めくくられている。
■ストーリー
“小森"は東北のとある村の中の小さな集落。いち子は一度都会に出たけれど、自分の居場所を見つけることができず、ここに帰ってきた。近くにスーパーやコンビニもない小森の生活は自給自足に近い暮らし。稲を育て、畑仕事をし、周りの野山で採った季節の食材から、毎日の食事を作る。
夏は畑で採れたトマトを使ったパスタや麹から作った米サワー、秋には山で採ったくるみの炊き込みごはん、栗の渋皮煮―。四季折々に様々の恵みを与える一方で、厳しさも見せる東北の大自然。時に立ち止りながら、自分と向き合う日々の中で、いち子はおいしいものをもりもり食べて明日へ踏み出す元気を充電していく・・・・・。
■感想
夏と秋ではかなり印象が異なる。夏の暑さの中で汗をかいてパンを焼くのとは違い、メインは田んぼでの稲刈りだ。食欲の秋ということで、秋は栗やクルミなどのうまそうなものが多数登場してくる。印象的なのは、クルミのシーンだ。山に転がっているクルミを取る。
最初は緑色をしているが、土の中に埋めて茶色くなったころに取り出し、そこから金槌でたたいて殻を割る。割ったところで、取り出せる身はほんのわずか。店に並んでいるクルミはかなり特別で、普通のクルミはどれだけ苦労しても取れる量はほんの少しということだ。
栗を煮て食べたり、サツマイモが痛むのが早いからとふかしてほし芋にする。芋系の食べ物は強烈においしそうに見える。川でヤマメを取り、それを南蛮漬けにしてみたり。かなり秋の食事は充実している。冬に備えてのマキ割りや保存食の準備など、秋は食物を保存することに重点が置かれているようだ。
いち子の幼馴染の存在や、近所のおばさん連中との井戸端会議など、なんだかいち子の見た目とそぐわない人間関係がある。田舎暮らしを考えると、なんとなくだが夏よりも秋の方が良いような気がしてならない。
本作のメインは鴨だろう。カルガモ農法でコメを育てつつ、鴨を食べる。雛鳥の映像を交えながらなので、なんだか残酷のように思える。恐らくそれが狙いなのだろう。動物たちの命を貰って生きている。鴨を解体するシーンを最初から最後まですべてを食べつくすように細かく映していることに、本作の主張を感じた。
鴨の肉は鶏肉とは異なり身が赤紫をしている。そのため、血をイメージするようなグロテスク感がある。ただ、出来上がった鴨料理は強烈にうまそうに見える。
秋は食欲の秋ということで、うまそうな映像が目白押しだ。
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