リトル・フォレスト 夏


 2017.9.5      ああ、憧れの自給自足生活 【リトル・フォレスト 夏】

                     
リトル・フォレスト 夏・秋
評価:3

■ヒトコト感想
東北の小さな集落である「小森」で生活する女・いち子の物語。いち子は見た目は都会風だが、都会に慣れず田舎に戻ってきた女。基本は自給自足の生活が、ただひたすら描かれているだけだ。畑で野菜を育て、田植えをし川で魚をとる。すべてを手作りする生活。マキストーブを真夏につけ、その熱でパンを焼く。ジャムは当然手作りだ。

最も驚いたのは、ウスターソースを手づくりする場面だ。いち子は、しばらくはソースが販売されていることを知らなかったらしい。いくら田舎生活とはいえ、そこまで…。テレビもなく夜は本を読む生活。わかりやすい田舎生活で、2泊3日ならば経験してみても良いかもと思うような生活だ。ほぼ出来事らしい出来事のない田舎暮らし映画だ。

■ストーリー
“小森"は東北のとある村の中の小さな集落。いち子は一度都会に出たけれど、自分の居場所を見つけることができず、ここに帰ってきた。近くにスーパーやコンビニもない小森の生活は自給自足に近い暮らし。稲を育て、畑仕事をし、周りの野山で採った季節の食材から、毎日の食事を作る。

夏は畑で採れたトマトを使ったパスタや麹から作った米サワー、秋には山で採ったくるみの炊き込みごはん、栗の渋皮煮―。四季折々に様々の恵みを与える一方で、厳しさも見せる東北の大自然。時に立ち止りながら、自分と向き合う日々の中で、いち子はおいしいものをもりもり食べて明日へ踏み出す元気を充電していく・・・・・。

■感想
田舎暮らしといっても、このご時世、ちょっと不便なだけで都会と変わらない生活をすることは可能だ。特に食べ物に関しては便利な食材が大量にある時代なので、遠くてもスーパーに通えば生活は十分に成り立つはずだ。

いち子が自給自足をしているのは、明らかにやりたいからしていると思えた。自家製の甘酒を作って飲む。自家製というところにこだわりを感じずにはいられない。小麦からパンを作り、発酵させ焼く。自家製ジャムを付けて食べる。典型的な憧れの自給自足生活だ。

どうやら本作はマンガ原作らしい。夏ということで、いくら田舎の山深い場所とはいえ、暑さを感じる描写がある。マンガではひたすら自給自足生活が描かれていたのだろう。映像として、ウスターソースを作ったり自家製の甘酒を作る場面は興味を惹かれる。

畑で採れたトマトでパスタを作り、たまにはまるごと食べたりもする。トマトを育てることの難しさや魚を殺して栄養を得ていることを描くなど、純粋に自給自足の楽しさだけではなく、生きることの重大さも描かれている。

詳しいストーリーはわからないが、いち子は都会に疲れて田舎に戻ってきたパターンらしい。子供の頃に小森で生活し、そこで学んだのが母親から直伝の自給自足生活らしい。ある場面では、恋人が存在した描写や、恋人と上手くいかなかった思い出なども語られている。

田舎生活だが、近所に男友達が存在しており、一緒に甘酒を飲んだりする仲らしい。ただ、恋愛感情があるという描写ではない。都会に疲れた人は本作を見ることで、田舎での自給自足生活に憧れるかもしれないが、実際には大変なことなのだろう。

「秋」ではまた違った食材について描かれることだろう。



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