プール


 2016.1.20      やりたいことをやる 【プール】

                     


■ヒトコト感想

マザー・ウォーター」と雰囲気は同じ。ただ場所がタイになったというだけだ。余命わずかと宣告された母親が、ひとりでタイへと旅立ってしまった。残された娘が母親に会いにタイへやってきた物語。そこでは母親の京子と、京子の仕事を手伝う市尾がいた。さよは小さなプールがあるゲストハウスに泊まる。京子、市尾、さよ、そしてゲストハウスに住み着くタイ人の子供ビー。さらにはゲストハウスのオーナ。

すべてがゆっくりとした時間の中で、のんびりとした生活を続けている。さよは京子が家族を捨ててタイへ勝手に旅立ったと思っている。そこでの親子の確執よりも、市尾をふくめたタイで生活する人々のなんともゆっくりとした生活を見て楽しむ物語だろう。まさに「マザー・ウォーター」と同じ雰囲気なのは間違いない。

■ストーリー

4年前、祖母と娘のさよのもとを離れ、チェンマイの郊外にあるゲストハウスで働き始めた母・京子(小林聡美)。大学の卒業を目前に控えた今、さよ(伽奈)はそんな母を訪ねて、一人、チェンマイ国際空港に降り立つ。迎えに現れたのは母ではなく、母の仕事を手伝う市尾(加瀬亮)だった。

小さなプールがあるゲストハウスにはビー(シッティチャイ・コンピラ)という名前のタイ人の子供と不思議な空気感を持つオーナーの菊子(もたいまさこ)がいた。さよは久々に会った母が、初めて会う人たちと楽しそうに暮らしている姿をどうしても素直に受け入れることができず、戸惑いを感じていた。

■感想
娘と祖母を捨ててひとりタイへと旅立つ京子。自分の思った通りにやりたいことをやる。作中でもさよに対してやりたいことをやれば良い的なことを語っている。捨てられたさよは、京子に会いに行くためにタイへとやってくる。そこで、最初はちょっとしたいざこざがある。

さよと京子の関係をよそに、市尾やビーたちはのんびりとした生活を続けている。足首だけがひたるようなちょっとしたプールがあるゲストハウス。そこでは日々の生活はとんでもなくのんびりとした時間の流れとなっている。東南アジアの雑多な雰囲気より、南の島のリゾート的な雰囲気が強い。

市尾たちの日々の生活はものすごくスローライフだ。ちゃんと仕事をしているのか?と思えるほど、日々をゆっくりとすごしている。いつものごとく、食事シーンが印象的に描かれている。マザー・ウォーターでのおいしそうな食事シーンに比べると、今回は舞台がタイということで、タイ料理がメインとなる。

自分がタイ料理をそこまで好きではないので、あまり魅力を感じなかった。サンサンと照りつく太陽と、足首だけが浸かるほどの浅いプール。水が輝くように綺麗なので、リゾート地としてはとんでもない魅力がある。

作中で京子が声を大にしてさよに対して、「やりたいことをやる」という言葉を言ったのが印象的だ。客観的に見ると、何もかも放り出してひとりタイへ向かうというのは自分勝手なことだ。ただ、余命半年と言われた人がやりたいことをやるというのは、確かに正しいことのように思えてくる。

タイの地になにがあるわけでもない。見ず知らずの子供をまるで実の子のように育てる京子。それを見てショックをうけるさよ。ただ、自分の母親がタイの地で生き生きと生活しているのを見ると、子供としても良い気分なのだろう。

タイの地がすべて本作のような感じだとは思わないが、魅力はある。



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