欧亜純白 ユーラシアホワイト 上 


 2017.10.9      ホワイトタイガーの大物感 【欧亜純白 ユーラシアホワイト 上】

                     
欧亜純白(上) ユーラシアホワイト 徳間文庫/大沢在昌(著者)
評価:3
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■ヒトコト感想
麻薬取締官の三崎を主人公とした本作。麻薬の利権を狙う様々な勢力と、それを取り締まる日本やアメリカの麻薬取締官たちが事件を調査する。世界を股にかけた麻薬の利権。ヘロインの輸出ルートを確保しそこで莫大な利益を得ようとする者たち。方や、それらを見つけ出し検挙しようとする男たち。潜入捜査あり、死んだことにされた捜査官あり、現実離れした壮大な物語となっている。

まず、日本最大のヤクザ組織が裏で麻薬のルートを開拓し、それに絡む形ですべてのカギを握るホワイトタイガーが名前だけ独り歩きし、その実態は見えてこない。CIAやDEAなどが捜査をしても尻尾をつかませない存在とは何なのか。下巻でそれらが明らかになるのだろうか。

■ストーリー
チャイナホワイトとは中国を経由して香港からアメリカへ持ち込まれるヘロインのことだ。一九九七年、世界最大のヘロイン輸出ターミナル香港は各国の犯罪組織が盤踞する一大拠点だった。ロシアマフィア、蛇頭、日本の広域暴力団、そして、麻薬ビジネスを新たに牛耳ろうとする謎の男“ホワイトタイガー“……。激変する麻薬組織の勢力図の中で、台湾ルートを追っていた麻薬取締官三崎は何者かに襲われ拉致された!

■感想
香港が中国に返還されるタイミングで麻薬の輸出ルートが大きく変わる。その利権を手に入れようとする勢力が動き出す。チャイナホワイトが既存の麻薬ならば、ユーラシアホワイトは新たな麻薬の総称なのだろうか。

麻薬取締官の三崎が、怪しげな取引を追いかけたところ、仲間が殺され、三崎自身も瀕死の重傷を負う。そこから、三崎は身分を隠し独自の調査を続ける。アメリカのDEA(麻薬取締局)やCIAが動きだし、日本を牛耳るヤクザまでも参戦してくる。非常に混沌とした中で、何が真実なのかは今の段階ではわからない。

上巻では様々な勢力が新たな麻薬のルートを開拓しようと躍起になっている。そこでカギとなってくるのが、ホワイトタイガーだ。誰もがホワイトタイガーと連係し利益を得ようとする。ただ、実際にホワイトタイガーを見た者は存在せず、その情報を知る者だけがクローズアップされる。

名前だけが独り歩きし、その実態が不明なため、恐怖感や大物感ばかりが強くなる。恐らく下巻では早い段階でホワイトタイガーの正体が明らかになることだろう。

中国マフィアの組織が複数絡み、日本最大のヤクザ組織とアメリカのCIA、DEA、そして日本の麻薬取締局。それらが入り混じりながら、仲間の仇や面子、そして利益を手に入れようと動き出す。誰もがホワイトタイガーの手の上で転がされているような気もするが…。

死んだことになっている三崎がカギとなるのだろう。日本の巨大なヤクザ組織すら手玉にとる存在。新たな麻薬ルートが構築されたとしても、CIAや日本が黙っているわけはない。

ホワイトタイガーの大物感ばかりが巨大化していく上巻だ。



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