ニッポン硬貨の謎 エラリー・クィーン最後の事件 北村薫


 2016.2.14      クイーンが日本に 【ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件】

                     
ニッポン硬貨の謎 [ 北村薫 ]
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■ヒトコト感想
作者が研究したエラリー・クイーンに関することがミステリー小説として描かれている。正直言うと、エラリー・クイーンを知らなければ楽しめない。硬貨の謎については、作者得意の日常のちょっとした謎としての面白さはある。それにクイーンが絡むことで、エラリー・クイーンが事件を解決したという流れにしている。

時代的なものや、作者が研究したことについて注釈として描かれているので、それなりに研究本としては完成されているのだろう。同じようにクイーンを研究している人や、興味がある人にはたまらないだろう。逆にクイーンをまったく知らない人にとっては、ただ外人が日本でミステリアスな事件を解決するというだけだ。

■ストーリー

ミステリ作家にして名探偵エラリー・クイーンが出版社の招きで来日、公式日程をこなすかたわら、東京に発生していた幼児連続殺害事件に関心を持つ。同じ頃アルバイト先の書店で五十円玉二十枚を千円札に両替する男に遭遇していた小町奈々子は、クイーン氏の観光ガイドを務めることに。出かけた動物園で幼児誘拐の現場に行き合わせるや、名探偵は先の事件との関連を指摘し…。

■感想
エラリー・クイーンが日本にやってきて、そこでミステリアスな事件を解決するという物語。実際にクイーンが事件を解決したというのはないのだろう。日本にやってきた際の情報と、日常のミステリアスな謎をからめることで、クイーンが事件を解決したという流れにしている。

クイーンを研究している作者だからこそ描ける作品だろう。そして、読者にもエラリー・クイーンに対する知識を求めている。正直、クイーンを知らない人は、読んでも面白さがわからないだろう。自分も海外のミステリー作家というレベルでしか知らないので辛いのは確かだ。

クイーンがどのような人物で、日本にきてどのような行動をとったのか。このあたりは文献などを調査して真実を多少脚色して描かれているのだろう。海外のミステリー作家が日本にきてどのような感想をもつのか。さらには、奇妙な事件の相談をうけたとき、クイーンならばどのような行動にでるのか。

作者なりにクイーンの人となりを想像し描いている。幼児ばかりを狙う事件の陰惨さと、クイーンが日本を訪れることによるちょっとしたユーモアあふれる展開。このふたつがいい感じにまじりあっている。

五十円玉二十枚を千円札に両替する男。この男と、幼児を次々に狙う事件の繋がりをクイーンが鮮やかに解決する。日常の謎というのは確かにありそうで疑問に思う流れではある。決まった人が必ず五十円玉を千円札に両替することにどんな意味があるのか。

クイーンをまったく知らない人が読んだとして、単純なミステリーとして楽しむことができる。ただ、クイーンを良く知っていればさらに楽しめることだろう。自分の場合、名前しか知らない程度の知識なので、作中の面白さをほとんど理解できていない。

最低でもクイーンの有名作品は読んでおくべきだ。



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