マリー・アントワネットに別れを告げて


 2016.9.13      衝撃的なギロチンリスト 【マリー・アントワネットに別れを告げて】

                     


■ヒトコト感想
フランス革命により民衆から告発されるフランス王朝。平和な毎日をすごしていたはずのヴェルサイユに激震が走る。マリー・アントワネットの朗読係りであるシドニーの目線で描かれた本作。ギロチンリストにのせられた者はいち早く脱出しようとする。それまで貴族として贅沢三昧をくりかえしてきた者たちは、いざ民衆が立ち上がり革命が始まると、すぐに尻尾を巻いて逃げ出す。

自己保身に走る者。忠誠心を貫こうとする者。様々だが、シドニーから見たマリー・アントワネットの状況が描かれているのが本作だ。貴族たちの中には、どこか危機感に乏しい者もいる。それは当然なのかもしれない。突然、明日首を切られますよと言われ、信じられる者は少ないだろう。

■ストーリー

1789年7月14日、いつもと変わらぬ優雅な朝を迎えたはずのヴェルサイユが1枚の紙に震える。フランス革命勃発のきっかけとなる、バスティーユが陥落し、王妃マリー・アントワネット(ダイアン・クルーガー)とその寵愛を受けるポリニャック夫人(ビルジニー・ルドワイヤン)の名前も載った286人のギロチンリストが発表されのだ。朗読係のシドニー(レア・セドゥ)は心酔する王妃への忠誠を誓うが、王妃から思いもよらなぬ頼みを命ぜられる。

■感想
マリー・アントワネットをテーマとして映画作品は多数あるが、本作のパターンは珍しいかもしれない。朗読係りであるシドニーが見たマリー・アントワネットとはどういった人物なのか…。国を衰退させる浪費家というイメージは、本作ではそれほど描かれていない。

独裁者としての姿でもない。夫に対して支配的かというとそうでもない。ごく普通の貴族のようにしか見えない。宮廷での華やかな生活は当然のこととして、そこで仕事に従事するシドニーは、ごく普通にマジメな仕事ぶりでしかない。

印象的なのは、286人のギロチンリストが発表された場面だ。リストを見て気を失う者あり、真っ青な表情となりながら気丈に振る舞う者あり。逃げ出そうとする者もある。王妃へ忠誠を誓うシドニーだが、そこで王妃より思いもよらない依頼をされることになる。

宮廷内では、さまざまな状況が渦巻いているとしても、混沌とした中で、一部の人々は冷静に事態を見守っている。どこか楽観的に事態を見守る者もいる。特に記録係りはシドニーと頻繁に会話し、その仙人のような悟りを開いた考え方には衝撃を受けてしまう。

マリー・アントワネットのイメージは多少変化した。明るくポップな雰囲気の映画作品もあれば、とんでもない悪女として描かれているのが世間一般のイメージかもしれない。どちらかと言えばステレオタイプなマリー・アントワネットかもしれないが、それでも強烈なインパクトがあることは間違いない。

フランス革命の直前には、宮廷内でどのような葛藤があったのか。パンがなければクッキーを食べれば良いという有名なセリフもいちおう登場してくる。

従者が見たマリー・アントワネットの姿だ。



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