マリー・アントワネット


2007.3.17 イメージ一新? 【マリー・アントワネット】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
国を衰退させるほどの浪費家で遊び好きな独裁者という、今で言うところの金正日のようなイメージだろうか。最後はギロチンの刑に処せられた人物だが、昔から言われているイメージには良いものがない。ほとんどが事実無根とはいえ、植えつけられたイメージをなかなか変えることができない。そんな中、本作のような作品がでてくると、あまりに今までのイメージとはかけ離れていたため、なかなか受け入れることができない。見ている間はまるで別人の作品かと思えるほど好意的に描かれている。美しいドレスとカラフルなケーキやお菓子。実際のマリーアントワネットの、美しくそして華やかな部分だけを抜き出すと、ちょうど本作のようになるのかもしれない。

■ストーリー

オーストリアの皇女アントワーヌは、14歳のときフランス王太子ルイのもとに嫁ぐことになった。しかし、ヴェルサイユ宮殿で会った15歳の彼はまだ少年だった。そんなティーン同士が結婚をしたが、義父ルイ15世の浮気、彼女に感心をしめさない王太子ルイへの苛立ちから、彼女は享楽的な生活を送るように。そんなとき、アントワーヌはスウェーデン陸軍のフェルゼン伯爵と出会い、恋に落ちてしまう。

■感想
ステレオタイプなマリーアントワネットではないが、ステレオタイプな宮廷での華やかな生活だ。何もかも周りの召使任せ。戸惑いながらも次第にその生活に溶け込んでいくマリーアントワネット。しかし、極悪非道で民衆のことは一切考えず、自分の楽しみだけを追求する悪魔のような王妃からは程遠い。純真無垢で、素直でやさしく、そして時には冒険もしたがるかわいい女性。そのようなイメージで描かれている。ある程度歪んだ情報が知れ渡ったというのはあるが、浪費家というのは共通した正しい認識なのだろう。それが国を破滅に導いたことが事実ならば国民のイメージでは悪魔に思われるのも仕方が無い。

マリーアントワネットが
かわいらしい女性として描かれていれば、ルイ16世は意外に男らしく感じた。最初は煮え切らないどうしようもない男として描かれているが、最後の最後、土壇場では王らしさを前面に表現している。一般的には無能な王といわれがちだが、本当のところはよくわからない。もしかしたらどこぞの国の天皇のように周りの腹心によって国が衰退の道を歩んでいったのかもしれない。最後の姿を見るとなぜか無性に男らしさを感じてしまった。

綺麗な衣装に、カラフルなケーキ。そしてポップな音楽。純粋に綺麗なものを見るという意味ではとてもすばらしく、美しいと思う。決まりきった見方になってしまうが、繁栄と衰退の間にはそれ相応の理由がある。その一時の繁栄をピークととらえ、それを存分に活用したのがマリーアントワネットなのだろう。すでに取り返しのつかない末期状態であってもその気持ちは変わりない。マリーアントワネットの不幸な部分よりも生まれた時代と周りの環境の不都合さばかりが目に付いてしまった。

新しい解釈の仕方というイメージよりも、マリーアントワネット本人の心の中を正直に表現した作品のような気がした。



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