クローバーフィールド


 2017.3.12      翻弄される一般市民の視点 【クローバーフィールド】

                     
評価:3

■ヒトコト感想
一般市民が手持ちのビデオカメラでパニックを撮影するていの物語。この手のパターンは昔の「ブレアウィッチプロジェクト」などがある。パーティを撮影するビデオカメラが、惨状を映し出す。リアル感を演出するために、ブレブレの映像だとか、巨大生物をなかなか映し出さないなど、観衆を惹きつける要素がある。

序盤に、自由の女神の顔が落ちてくる映像はインパクト抜群だ。巨大な何かがNYの街をめちゃくちゃにしている。逃げ回りながら、ビデオは絶対に離さない。冷静に考えれば、不自然なことだらけだが、臨場感はある。結局のところパニック映画ではあるが、巨大生物が何なのか、最終的にどうなったのかはわからず終わっている。

■ストーリー
ニューヨークで青年ロブの転勤送別パーティの最中に、正体不明の巨大生物が出現。街はパニックと化し、戦闘状態に突入する軍隊。ロブは恋人の救出に向かうのだが…。巨大な“何か”に襲われ大混乱に陥ったN.Y.の惨状を、一般市民が撮影したビデオカメラという視点から描き出す。

■感想
一般市民がビデオカメラで撮影したていの作品。そのため、一般市民は何一つ情報を得ることなく、見たものそのものがビデオカメラにおさめられている。普通の映画ならば、巨大生物に襲われた場合は、すぐさま政府が対策会議を開き、軍隊への攻撃命令だとか、巨大生物の正体を探る動きがある。

本作はあくまでも一般市民の視点なので、それらの情報は一切知らされず、巨大生物の全容もなかなか明らかにはならない。周りがパニックとなり、それに巻き込まれるように、カメラマンもパニックになっていく。

巨大生物から逃げるのだが、巨大生物の子分のような小さな蜘蛛のような生物が襲いかかってくる。グロテスクな生物は人に襲いかかってくる。パニック映画らしく、正体不明の生物に襲われ噛まれると、ウィルスに冒されてしまう。

内容的にはありきたりなのだが、ビデオカメラで撮影した映像を終始見せられていると妙な気持ちになる。映画での大局的な映像ではなく、無力な一般市民はどうしようもなく、ただ逃げるしかない。軍隊が巨大生物を攻撃したとしても、巻き添えで被害を受ける可能性すらある。

ラストは一般市民ゆえに、巨大生物と軍隊の戦いがどうなろうが関係ない。ビデオの撮影者が巨大生物に食い殺され、残されたビデオカメラを友達が持ち、撮影を引継いだとしても…。ゴジラや「パシフィック・リム」のように巨大生物に襲われる映画の中で、ただ逃げるしかない一般市民の視点というのがよくわかる作品だ。

一般市民は無力で何もできない。そこには正義の味方やヒーローが現れるわけではない。ただ、無様に巨大生物の犠牲となっていくだけだ。

内容はありきたりだが、一般市民の視点としての面白さがある。



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