告白


 2017.8.6      R15も納得の問題作 【告白】

                     
告白■監督:中島哲也//松たか子/木村佳乃/岡田将生■(2010)
評価:3

■ヒトコト感想
衝撃的な原作を、特徴的な雰囲気で映画化している。淡々と語る印象のあった原作を、どのように映像化するのか。ひとり語りを映画化するのは難しい。場面展開やあるひとつの場面が繰り返されることを、どのように飽きさせることなく見せるのか。中学生たちのイジメの場面や、異常状態におちいる流れは鳥肌が立つ。

さらには、担任の森口の無表情さや、ラストの爆発の場面などは映像化ならではの利点だ。ただ、全体として異常な中学生という面ばかりが強調されているので、その他の要素が薄まっているような気がした。ミステリー的な面白さが、イジメや精神的におかしくなった中学生の叫びによってかき消されている。そうはいってもインパクトある問題作であることは間違いない。

■ストーリー
ある中学校、雑然とした教室。終業式のホームルーム。1年B組、37人の13歳。教壇に立つ担任・森口悠子が語りだす。「私の娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」一瞬、静寂に包まれる教室。物語は「告白」から始まる。

■感想
中学校のホームルームで突然担任教師が告白する。教師もむちゃくちゃだが、生徒たちはさらに輪をかけてむちゃくちゃだ。それぞれが独白することで物語の全容が明らかとなる。原作では、語り手が変わるたびに次々と新しい真実が判明する衝撃があった。

映像化され、基本の路線は変わらないのだが、映像的インパクトはすさまじい。学級崩壊した教室では、教師が話をしている間中、生徒たちは好き勝手に動き回る。すでにこの段階で、生徒たちにむかつく感情を覚えてしまった。

感情移入するのは教師側だ。無法地帯と化した教室内を制することを諦め、自分の告白だけを淡々と語る森口。小ずるい生徒たちは、自分が少年法に守られているとわかっているだけに、なおさらムカつきは大きくなる。森口が生徒たちにした告白。

それにより、追い詰められる生徒。ひとりの生徒は追い詰められた結果、自暴自棄となる。ここまではある程度想定できる。娘を殺された教師の復讐劇である本作。明らかに復讐する教師側を応援してしまうのは、生徒たちがヘドがでそうなほど憎たらしいからだ。

ラストの流れは衝撃的だが、先に原作を読んでいるのである程度身構えていた。それでも、映像的なインパクトはすさまじい。死ぬことを最後の美と考える生徒に、復讐するとしたら何が一番良いのか。殺すことでは復讐にならないと考えた森口がとった行動は…。

原作を読んでいなければ、とんでもない衝撃を受けるだろう。R15となるのも納得の作品であることは間違いない。本作を中学生が見たら、夜夢でうなされるかもしれない。それほど、とんでもない問題作だろう。

こんな感じの中学が恐らくだが、現実にも存在するのだろう。



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