ここはボツコニアン5 宮部みゆき


 2015.12.19      ボツコニアンシリーズ終了 【ここはボツコニアン5】

                     
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■ヒトコト感想

シリーズの最終作。今までのシリーズと同様に、マニアックなゲームの話が続く。正直、元ネタを知らないと楽しめないというのがある。このシリーズの特徴だが、はまれば楽しめるが、はまらないとまったく楽しめない。今回も、それなりにマニアックなゲームの話題となる。SFチックな世界で宇宙戦争の話や、ゲームのラスボスの話など、それなりに興味深い部分はある。

ボツコニアンの世界は作者の趣味趣向が色濃く反映されているので、当然のごとく作者の思いが地の文に登場する。ラスボスについても、作者なりにラスボスとの戦いは印象に残らない、という独特の見解を示している。それほど興味のある内容ではないが、オチまでしっかりと描かれているので、終わった感はある。

■ストーリー

長靴の戦士ピノとピピは、莢ニンゲンの支配するSFチックな世界から、ラスボスの待ち受けるダンジョンまで、長く厳しい試練の旅の果てに、ボツコニアンと魔王の謎を明かせるのか?壮大にしてお気楽!人気RPGファンタジー、シリーズついに完結!

■感想
5巻にわたるボツコニアンの物語も終了を迎える。ピノとピピという紛らわしい名前の二人の男女が主人公の本作。RPG的に仲間を集めてラスボスを倒す。お決まり通り、お使いゲーム的にミッションをこなしながら進んでいく。

世間にあふれるゲームや映画やアニメの内容から脇役扱いのキャラを集めて物語としている。三國無双関連の話というのは、自分がやっていたこともあり楽しめた。三国志の本家のゲームでは、決して脚光を浴びることのないキャラが大活躍するのは非常に面白い。

ゲーム好きの作者らしく、ゲームのうんちくやゲームへの不満なども語られている。物語の中に作者の意見が地の文で登場するのは、大御所だけが許される行為だろう。本作にしても、大人気というわけではないはずだ。かなり作者の趣味が色濃くでており、それほど売れ行きが良いとは思えない。

ただ、各種ゲームをやってきた作者が感じるゲームでのあるあるは秀逸だ。主人公キャラやそのほか個性的なキャラクターの印象は強いが、ラスボスについてはほとんど印象にないらしい。確かに、ラスボスとの戦いがどうだったかはほとんど覚えていない。

本作で完結となったボツコニアンシリーズ。ラスボスとの戦いも、ゲームと同じくなんとも気の抜ける展開となっている。魔王になるためには、大事なものを捨てる必要がある、なんていうお決まりの制約がありながら、少しお笑いの展開もある。

ラスボスがピノやピピが昔から知っている人物というのが、シリアスな展開へと流れるかと思いきや…。作者のファンタジー作品には、必ずブラックな部分があるが、本作にはまったくない。主要キャラクターが死ぬことはなく、誰かが傷つくこともない。絵柄そのままの内容だ。

シリーズのファンならば最後まで読むべきだろう。



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