国家と神とマルクス 佐藤優


 2016.2.27      読者へ高いレベルを要求 【国家と神とマルクス】

                     
国家と神とマルクス [ 佐藤優 ]
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■ヒトコト感想
作者の研究した内容や対談などが収録されている本作。国策捜査により逮捕された経験のある作者が国家や宗教について自分の思いを語る。作者の作品を好んで読む人にとっては、内容的に特別目新しいものはない。外交官として他国とインテリジェンスの戦いを繰り広げた日々や、国策捜査により逮捕されたことについては、すでにおなじみのことだろう。

作者が好んで読んだ作品というのは、かなり難しいので、自分の中では、書かれていることのほとんどが理解できなかった。相変わらず知識レベルが高いので、読者にもそれなりに高いレベルを求められている。宗教やマルクスについてはほとんど理解できていないというのが正しいだろう。

■ストーリー

「絶対的なものはある。ただし、それは複数ある」自ら“自由主義的保守主義者”を標榜し、いまや左右両翼の活字メディアで最も活躍する著者。深淵な思考の果てに見出したその「多元性と寛容の精神」を支柱に、国家から宗教、歴史まで、内在する論理を真摯に追究してゆく。

■感想
小難しいのは間違いない。ただ、作者の作品をよく読む人ならば問題ないだろう。今まで、作者が他の作品で主張してきたこととほとんど変わらない内容だ。ただ、他者との対談については新たな意見というのを感じることができた。

特に印象的なのは、小林よしのりについて語っている部分だ。仲が良くないというイメージがあったが、相手のことをそれなりに高く評価しているようだ。マンガという大衆に浸透しやすい媒体を使うことのメリットデメリットなども語られている。

作者の宗教観や、外交官としての仕事については、他作品で語られていることとほとんど大差ない。作者が特殊なのか、それとも新しい考えなのか、それすらも理解することができない。普段からそのあたりのことを考えたり、知識として自分の中にとりこめていないので、特別な印象はない。

マルクスなんてのも、学校の教科書でちょっと目にした程度だ。共産主義や社会主義にしても教科書レベルしか知識がない。そのため、深いレベルで作者の主張は理解できていないため、作者がどの作品でも同じことを言っているという印象しかない。

作者が影響を受けた本について描かれている部分では、まさにまったく太刀打ちできないと言う感じだ。古い作品や他の知識人たちに影響を与えた作品なのだろうが、まったくその内容について理解できなかった。何がすごくて何が新しいのか。

そして、つらつらと他者に対する影響力の巨大さを語る作者だが、まったく頭に入らない。連載されていた雑誌についても、普通の本屋では売っていないような特殊な雑誌ではないのか?と思えるほど聞いたことのない雑誌だ。

要求される読者のレベルはかなり高い。



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