国家情報戦略 佐藤優


 2016.1.3      日本は世界一のインテリジェンス国家になれる 【国家情報戦略】

                     
佐藤優おすすめランキング


■ヒトコト感想

作者と韓国のインテリジェンスの第一人者が対談形式でお互いの状況を会話している。興味深いのは核の話や北朝鮮とアメリカの関係についてだ。くしくもお互い、政府の陰謀で逮捕されたふたりなので、インテリジェンスの怖さというものがしつこく語られている。

北朝鮮の工作員が実は日本の陸軍中野学校の出身者だっただとか。スパイになるには、自分から売り込んでも決してスパイになることはできないことなど、一般人では知りえないことが描かれている。実際に起こった出来事から、その裏で行われている様々なスパイ行為まで。作者のスタンスというのは昔から一貫しているので、ぶれていない。韓国と日本のインテリジェンスの捉え方の違いなども興味深い部分だ。

■ストーリー

核、北朝鮮、日本の2010年は?日韓インテリジェンスの第一人者が激突!北朝鮮の工作は陸軍中野学校の模倣だった!?日本人の情報DNAを呼び覚ます超問題作。

■感想
韓国のインテリジェンスの第一人者と作者の対談。どちらとも国の政策により突然犯罪者にされたということで、お互い意気投合している。対談の内容はというと、お互いの国のインテリジェンスの考え方の違いだ。韓国は北朝鮮という存在があり、否が応でもスパイやそのあたりの情報にシビアだ。

対して、日本はインテリジェンスについてはすすんでいない。そのことについては、お互い納得しているような記述がある。ただ、韓国から見ると日本の商社のグローバル化はすばらしく、その気になれば世界一のインテリジェンス国家になれると言っている。

核についても、世界の中での日本や韓国の位置づけがよくわかった。ひとつの国が核を持つことで、数珠つなぎに次々と周辺の国々が核を持つ。極東でいうと、北朝鮮が核を持てば、まちがいなく日本と韓国も核をもつだろうということだ。

日本が核ミサイルを持てない理由もよくわかった。原子力発電を行う場合に、海外からウランを輸入しているらしい。核ミサイルを開発すると、それができないようだ。技術力としては、日本は問題なく核ミサイルを作ることができるのだろう。

本作を読んで意外だったのは、北朝鮮がそれなりにインテリジェンスではすばらしい能力があり、アメリカに対しても強気にでているということだ。独裁者により支配された国がどのようにして今後反映していくのか。北朝鮮の状況というのは、日本と韓国に大きな影響を与えることは間違いない。今後、日本のインテリジェンスが強化されるのか、それとも何もせず他国に自由に国内をスパイされまくるのか。

作者はあくまでも日本のインテリジェンスは弱いという考えだ。対して韓国からすると、日本の商社のグローバルネットワークの素晴らしさをべた褒めし、アメリカやロシアを超える世界一のインテリジェンス国家になれる素養があると語る。

世界のインテリジェンスの状況がよくわかる。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp