2017.3.17 誰が身代金をかすめとったのか? 【Kの日々】
評価:2.5
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■ヒトコト感想
3年前に発生したヤクザ組長誘拐事件。その主犯格である中国人の李が死に、奪われた身代金が行方不明となる。消えた身代金を奪い取ろうと様々な勢力が動き出す。本作の主人公は元刑事で探偵の木だ。木は李の恋人であった京と接触し事件を調査するのだが…。
ヤクザ、刑事、中国人、ヤクザを抜けた男たちと事件は様々な関係者により、誰が身代金をかすめ取ったのかわからない状態となる。ラスト直前まで、まさに正体不明の何者かに奪い取られたかのような雰囲気がある。誰が身代金を奪い取ったのか。どんでん返しを期待し、犯人を予想したが、そのどれもが外れる展開となった。主人公の木にとり立てて魅力的な何かがあるわけではないのが残念な部分だ。
■ストーリー
闇に葬られた三年前の組長誘拐事件。身代金は八千万円。身代金をうけとった李は、事件から間もなく、白骨となって東京湾に浮かんだという。李の恋人Kの調査をはじめた裏の探偵・木。謎の女Kは、恋人を殺しカネを独り占めした悪女なのか、それとも、亡き恋人を今も思いつづける聖女なのか!?逆転、また逆転、手に汗を握る長編ミステリー。
■感想
ヤクザの組長を誘拐し1億円を身代金として奪い取る。まんまと成功したが金を受け取った中国人の李が行方不明となり、その後死体で見つかった。3年後、李の元恋人である京の元にヤクザの2代目が訪ねてくる。
奪われた身代金を見つけ出すためにヤクザの2代目、刑事、ヤクザを首になった男、中国人たちがそれぞれ動き回る。李の恋人であった京が、何かカギを握っているかに思われた。探偵の木が依頼を受け、京が身代金を隠し持っているのではないかと調査するのだが…。
木が特別な能力があるわけでもなく、元刑事というだけで、ヤクザの2代目におびえたりと魅力があまりない。木の駆け引きや推理力はすばらしいが、木自身の力はあまりない。刑事の鬼塚が身代金をかすめ取ろうと動きだし、何者かに殺される。
ここで、事件の全容がまったくわからなくなる。ヤクザの2代目の自作自演なのか、李と知り合いだった死体を焼却する業者の男なのか、それともヤクザを首になった男なのか。中盤では事件のからくりが明らかになるが、それでも身代金の行方は分からずじまいだ。
ラスト直前まで誰が身代金を奪い取ったのかわからない。鬼塚を殺した者にその可能性があるのだが…。自分の中ではタイトルになっているので京に何かしら秘密があるのではないかと疑っていた。意外な人物が犯人であるのは定番だが…。
身代金を奪った人物が明らかになると、とたんにテンションは下がってしまう。確かに意外な人物ではあるし、想定外であった。ただ、木だとか京にキャラクターとして特別な魅力があるわけではないので、そこまでのめり込むことはできなかった。
事件は相当複雑なことは間違いない。
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